柏原地域における認定こども園の方向性を協議していた 「柏原地域就学前教育・保育に関する地域協議会」 (廣田誠信会長、 26人) は21日、 地域が運営する法人を設立し、 東西2園 (東=崇広幼稚園と柏原保育所を統合、 西=新井幼稚園と柏原西保育所を統合) を開園する 「1法人2園」 とする内容の報告書を、 辻重五郎市長に提出した。 これを受け、 23日には同地域の住民らでつくる 「公立の保育所の幼稚園の存続・充実を求める会」 が、 同協議会のまとめに対し、 「住民総意ではなく、 容認できない」とする申し入れ書を同市長に提出。地域の意見が混迷の状態に陥っている。
法人が運営する150―200人規模のこども園を全市に広げる―とする市の方針を受け、 2010年12月から柏原町自治会長協議会で協議を重ね、 12年3月に幼稚園、 保育園長や保護者代表、 学識経験者らでつくる同地域協議会がスタート。 今年3月までに15回の会合をもち、 方向性をまとめた。
昨年11月には柏原町自治会長協議会への協議結果報告を行い、 今年1月には新井、 崇広両小学校区で一般住民を対象にした経過報告会を開催。 4月には、 協議結果を知らせる書面を全戸配布した。
廣田委員長は、 「市の基本方針を受け、 議論を重ねるうちに柏原も丹波市の一員であり、 他の地域と同じ方向で行こうという考えが浸透した」 と言い、 「様々な意見は出たが、 まとめの段階で反対はなかった」 と振り返る。 さらに 「今後は反対している人の意見も取り入れながら進めなければ」 と話した。
一方、 「求める会」 は、 これまで幼稚園、 保育所ともに公立運営されてきたことを 「よき伝統」 ととらえ、 現施設の改築、 充実への方向転換を求める署名活動を開始。 これまでに約850筆を集めたという。 また、 17日には柏原自治会館で意見交換会を開催。 「協議の途中で市民の意見も聞かず、 報告会においてもほとんどの意見が反対や批判、 不安の声だった」 などと、 協議会のまとめに対し、 市長に慎重な対応を求める申し入れ書への賛同者を募った。
求める会の代表幹事の一人、 細谷マサ子さん (70) =柏原町南多田=は、 「大きなこども園になれば、 目が行き届かないと不安がる声は多い。 柏原の公立運営を維持し、 保護者が公立か、 私立か選択できるのも丹波市の魅力のひとつになるのではないか」 と話す。
「住民の総意でない」 という声に対し、 小田繁雄教育長は、 「3月の柏原町自治会長協議会の席で、 4月の各自治会の総会において、 こども園に対する意見があれば、 出向いてでも説明すると申し入れたが、 問い合わせなどはほとんどなかった。 総意は得られたと判断している」 と話す。 また、 「子育てが多様化する中で、 迅速、 柔軟に対応できるのが法人のよさ。 営利を目的とする民間ではなく、 子どもの教育に寄り添ってきた地域立の法人であり、 市教委も最大限の支援をする」 と理解を求めている。
辻市長は、 「反対の声はあると聞いていたが、 そこから進んでようやく方向性がまとまったと報告を受け、 喜んでいた矢先で驚いた。 中身について教育委員会に伝え、 今後の対応を考えるが、 現状では協議会の報告書を尊重したい」 と話した。