前線の影響で、 丹波市が8月16、 17の両日、 記録的豪雨に見舞われ、 市島地域を中心に甚大な被害が出た。 市島町徳尾では土砂崩れで全壊した住宅から男性1人が遺体で見つかるなど、 死者1人、 負傷者3人、 住宅被害は全壊16棟、 半壊21棟、 一部損壊16棟、 床上、 床下浸水などを合わせ1232棟に達した。 19日に市災害ボランティアセンターが開設されたほか、 不通だったJR福知山線も石生―篠山口間で運転を再開、 不通の石生―福知山間はバスによる代行輸送が始まった。 18日には西村康稔内閣府副大臣を団長とする政府視察団が現地入り。 県は19日、 市に被災者生活再建支援法を適用した。 一世帯当たり最高300万円が支給される。 泥出しやごみの搬出が進んでいるが、 前山地区などで断水が続いている。
市島と氷上にまたがる五台山 (655メートル) を囲むように、 市島町前山、 竹田、 美和、 氷上町幸世、 中央、 春日町船城、 黒井の各地区などで被害が出ている。
国交省テレメーターによると、 市島町森 (下竹田) で17日午前1―2時に57ミリ、 2―3時に75ミリと非常に激しい雨が降った。 同町北岡本でも、 同1―2時に55ミリ、 2―3時に91ミリ降った。 深夜の大雨で土砂が崩れ、 鉄砲水や土石流が発生、 住宅や田畑を襲った。 降り始めから17日午前7時までの累加雨量は森で395ミリ、 北岡本は420ミリに達した。
柏原町母坪で、 17日午後2時50分までの48時間降水量 (気象庁アメダス) は、 1976年からの観測史上最高の278・5ミリを記録した。
市災害対策本部の被害状況調査 (19日) によると、 住宅の全壊、半壊、一部損壊のほとんどが前山地区。 床上浸水の70%、 土砂崩れの56%が市島地域に集中。
五台山を挟んで南西に位置する氷上町香良も、 岩瀧寺渓谷が大きな被害を受けた。 同町鴨内でも住宅の床上、 床下浸水被害が発生した。 このほか、 春日町では山からの土砂で水路が詰まったり、 黒井川がオーバーフローするなどし、 船城、 黒井地区を中心に床上、 床下浸水が、 青垣町東芦田で床下浸水被害が相次いだ。
氷上町香良の自宅で気象観測を続けている荻野正裕さんは16日午前9時からの24時間で422ミリを観測した。 荻野さんは、 日本列島の停滞前線に向かって南西から北東方向へ湿った大気が流れ込んでおり、 その通り道の下にたまたま丹波市があり、 標高が600メートルを超す五台山に大気が当たったことで強い雨が降ったと見ている。
市災害対策本部は避難勧告を17日午前2時に市島の竹田、 前山、 吉見地区に、 同3時30分までに市島の美和地区、 氷上町生郷地区に発令。 合計で4575世帯、 1万2286人に同勧告を発令、 最大で市島地域で37世帯81人が避難した。
泥出し作業難航 ボランティアを募集
丹波市は19日、 「市災害ボランティアセンター」 を開設し、 家屋の泥出しや家財道具の運び出しなどを行うボランティアを募集している。 ハートフルかすが (春日町黒井、 0795・74・0999) を本部とし、 市島農村環境改善センター (市島町上田、 0795・85・2750) でも参加を受け付けている。 また、 被災した人でボランティアの援助が必要な場合、 同センターに派遣を依頼することができる。 30日までの予定。
受付は午前8時半―午後4時。 受付時にボランティア活動保険に加入する。
1班10人ほどで活動する。 現地へはシャトルバスで移動。 活動時間は午前9時―正午と、午後1時―午後3時。 食事は各自で用意する。 スコップやブラシ、 バケツなど作業に必要な道具は同センターが準備している。
初日には、 180人のボランティアが参加した。
写真・市島町徳尾の葛野達也さん宅 (59) には、 勤務先の北はりま特別支援学校の教諭仲間や、 ボランティアら計約40人が活動。 土砂にまみれた家財道具や畳を運び出したり、 床下の泥をかき出すなどの作業にあたった。 「昨日 (18日) までは手がつけられなかった。 ボランティアに来てもらって、 ようやく片付けが始まった。 ありがたい」 と葛野さん