自分のこととして

2014.08.30
丹波春秋

 広島の土砂災害現場の航空写真を丹波市前山地区のと見比べると、山の形も崩れ方も驚くほど似ている。山頂に近い所に多数の崩れ跡が見られる点もそっくり。こちらの地質は広島の崩れ易い真砂土とは異なると言っても、あれだけの集中豪雨の前には同じ事。違うのは山麓の住宅の密集度だけである。▼ボランティアに出かけ水路の土砂を掘ったり、床下の泥水をすくい出した。多くの人が仲間にいるのは心強い。「数年前の台風の時助けてもらったので」という人もいた。県内一円はもとより愛知や福井、宮城県からも。▼来月初、春日スタジアムでの試合を控えている女子プロ野球の選手も練習を取りやめて連日入っている。低い床下に潜り込み這いつくばって、茶色の絵の具のようにどろどろの水をスポンジで掻い出す若者には感動した。▼宮城の知人が「大震災で随分支援を受けたので」と多額の義援金を筆者を通じて寄せて下さった。岩手からは老人会のつながりで支援物資が届いている。▼家中泥に覆われた市島の人が「これまで他人事のように思っていた事が、自分の問題だということをつくづく実感した」と話した。局地的な被害は、ほんの少しはずれた場所の人の目にも触れ難い。これからは、いつその立場に自分がなるかも知れぬということを肝に銘じておきたい。(E)

 

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