「子規忌」

2014.09.17
丹波春秋

 明日9月19日は「子規忌」。現代の俳句の基礎をつくった正岡子規がわずか30歳代半ばで亡くなった日だ。子規は、病床にありながら亡くなる直前まで毎日、随筆「病牀六尺」を書いた。▼息を引き取る3カ月前に書いた随筆にこうある。「絶叫。号泣。ますます絶叫する。ますます号泣する。その苦しみ、その痛み、何とも形容することは出来ない…誰かこの苦を助けてくれるものはあるまいか」。苦悩と絶望、病から来る激痛のほどがひしひしと伝わってくる。▼しかし、「病牀六尺」は病苦のさまの率直な告白ではない。先の記述をしるした2日前には、明治維新を成し遂げたのは幕府の老人ではなく、田舎の青年であったなどと例を挙げ、こう書いた。「何事によらず革命または改良という事は必ず新たに世の中に出てきた青年の仕事であった」。死を覚悟した絶望の中にあって、子規は次代の希望を青年に託した。▼先ごろ発足した安倍改造内閣。その特徴の一つが、地方創生担当相を新設し、「元気で豊かな地方の創生」を最大課題に掲げたことだ。しかし、地方が抱えている人口減少などの難題の解消に、改造内閣がどれほどの実効性を発揮するか疑問だ。▼子規ならば、こう言うだろう。「地方を再生するのは政府の役人ではなく、新たに世の中に出てきた地方の青年である」。(Y)

 

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