福住の山車2基を大改修 だんじりの本場で修復へ

2014.09.04
ニュース丹波篠山市

解体されて荷台に積み込まれる福住上の 「鶴寿山」=兵庫県篠山市福住で

兵庫県篠山市福住地区の住吉神社 (同市川原) 例祭 「水無月祭」 に毎年登場する山車2基が大阪府岸和田市に運ばれ、 同市内の工務店でつくる 「関西地車 (じぐるま) 製作事業協同組合」 によって大規模な修復が行われている。 勇壮で迫力ある 「だんじり」 の本場で他地域の山車が修復されるのは稀なこと。 250年間に渡って受け継がれてきた福住のシンボルが、 岸和田で注目を集めている。 修復に携わる職人らは、 「だんじり以外の山車を修復できるのは、 職人にとってもうれしいこと」 と腕を振るっている。

修復されているのは、 福住上地区の 「鶴寿山」 と、 川原地区の 「菊水山」。 巨大な両山車は約250年前に制作されたとされ、 大規模な改修は今回が初めてになるという。 菊水山は一昨年、 昨年と改修を行っており、 今回は金箔などの装飾部分を、 鶴寿山は車輪も含めて全体的な改修を行う。

同組合は岸和田の古参工務店4社で昨年夏に発足。 400年にわたって毎年9、 10月に行われている祭りで曳行 (えいこう) されるだんじりの修復を手がけてきたが、 事業として、 また人口減が進む地域のみこしなどの活性化にもつなげようと、 市外にも受注対象を拡大させており、 現在、 福住だけでなく、 岡山や滋賀、 静岡と全国各地から依頼を受けている。

費用には文化庁の地域活性化事業を活用している。

20日には菊水山が、 27日には鶴寿山が大型トラックに載せられて岸和田へ出発。 祈祷を行った後、 パーツごとに解体されて荷台に積み込まれる様子を住民らは固唾を呑んで見守っていた。

福住上地区の北尾長彦自治会長は、 「山車の修復はそうそう行われるものではなく、 次はひ孫がその先かわからないけれど、 伝統文化を後世に残すため」 と言い、 「だんじりの本場でどのように修復されて戻ってくるか、 とても楽しみ」 とほほ笑む。

同組合の大下孝治理事長は、 「だんじりと違うものを扱うことで、 私たちにとっても技術を伝えていくことができる。 祭りの活性化にもつなげられたら」 と話している。

 

 

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