働くこと

2014.11.22
丹波春秋

 きょう23日は勤労感謝の日。こつこつと働くことをいとわなかった日本人らしい祝日と言える。そんな日本人をかつて「働きバチ」とからかった欧米には、もともと「働くことは苦役である」という思想があるらしい。▼人類の始祖とされるアダムとイブは、仕事をしなくてもいい楽園に暮らしていたが、神にそむいて原罪をおかしたため楽園を追放され、アダムは耕し、イブは紡がなければならなくなった。つまり、仕事とは神から与えられた罰というわけだ。▼日本は違う。経済学者の中谷巌氏によると、「古事記」や「日本書紀」には神々が機織りをしたり、山彦・海彦の神話のように猟や漁労をしていたという物語が頻繁に出てくる。それは、「労働は神事である」という独特の価値観を日本人は持っていたからだという。▼さて、今回の衆院の解散・総選挙。なぜ師走のこの時期にと思うが、政治家にとって最大の働き場所は、有権者にじかに訴える選挙活動。師走をいとわず選挙をしようというのだから、政治家というのはよほど働くことがお好きと見える。政治家は今も、日本人の特質を律儀に受け継いでいるようだ。▼でも今が本当に、国民に信を問うべき時なのか。選挙活動に身を投じるべき時なのか。政治家の本領を発揮する働き場所は他にあるだろうに、と思う。(Y)

 

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