兵庫県丹波市は、 次世代育成支援施策に反映させようと実施した、 市内事業所を対象とした子育て支援に関する調査結果をまとめた。 仕事と子育てを両立させるための職場環境づくりを 「特に行っていない」 は約4割、 子育て支援の特別な取り組みについても 「行っていない」 は約2割で、 いずれも設問中トップの回答割合。 また、 市に期待することを尋ねた設問で、 「特にない」 と 「無回答」 を合わせると37・8%となるなど、 子育て支援への取り組みに消極的な事業所が多い実態がうかがえる。 事業所を対象にした子育てに関する調査は初めて。
次世代育成支援対策法の施行に伴い、 2011年から従業員101人以上の企業には、 労働条件の整備に取り組む目標や具体的な対策を盛り込んだ 「行動計画」 の策定が義務付けられた (100人以下は努力義務)。 調査は、 同計画の策定状況などから事業所の現状を把握するのがねらい。
調査は6月、 市内1338事業所を対象に実施。 641事業所から回答を得た (有効回収率46・2%)。 このうち、 従業員20人以下の事業所が全体の76・9%だった。 業種では製造業、 サービス業がともに21・2%と最も多く、 次いで建設業 (15・4%)、 卸売小売業 (13・4%)、 運輸業 (5・0%) など。 従業員に占める女性 (パート含む) の割合は、 「5割以上」 の事業所が最も多く39・5%、 18歳以下の子どもがいる従業員の割合は、 「3割未満」 が全体の59・8%を占めていた。
仕事と子育ての両立のための職場環境づくりの取り組みをたずねた設問では、 「特に行っていない」 が40・4%とトップ。 次いで 「育児休業期間等に対応するための業務内容の見直し」 が15・8%、 「管理職・従業員の意識啓発」 が9・4%、 「定期的な労使間の話し合い」 が8・7%―など。
子育て支援の特別な取り組みを聞いた設問では、 「特別な制度はないが、 必要に応じて柔軟に対応」 (13・5%)、 「行っていない」 (8・7%) を合わせると22・2%で、 5社のうち1社は、 子育て支援に対する制度がないことがうかがえる。
取り組み例では、 「子供の学校行事などに合わせた休暇の取得制度」 (11・7%)、 「短時間勤務」 (10・5%)、 「半日や時間単位の有給休暇」 (9・2%)、 「家族手当」 (8・9%)、 「子どもに関する祝い金・見舞金」 (8・7%)、 「子どもの看護休暇」 (8・5%) ―の順で多かった。
市に期待することは、 「他の企業の取り組み事例や法・制度に関する情報提供」 が最も多く28・8%。 次に多いのは 「期待することは特にない」 (21・4%) だった。
行動計画は、 100人以下の事業所が多いため 「策定予定なし」 が5割を占め、 「よくわからない」 も約3割あった。 策定予定のない事業所の約4割が、「どのような計画をつくればよいか分からない」 と回答。 国の施策が十分に理解されていないことがうかがえる。
市は、 「子育て支援に取り組みたいが、 具体的な取り組み方が分からないという様子がうかがえる。 独自の取り組みを工夫している事業所の例は、 他の事業所の参考にもなるので情報提供していきたい。 調査結果を施策につなげたい」 としている。