兵庫県丹波市山南町太田の慧日寺 (門脇靖巖住職、 TEL0795・77・0354) へ紅葉狩りに訪れる観光客をもてなそうと、 今年から檀家有志が当番を決め、 ガイドしている。 江戸時代中期に造られたとされる同寺裏庭の紅葉が、 「隠れた穴場」 として脚光を浴び始めているのに加え、 檀家による飾らないもてなしも好評で、 観光客は11月だけで1500人を超えている。
丹波市観光協会が推奨する 「もみじめぐり10カ寺」 に昨年加わった。 これまで木のせん定などを檀家が行っていたが、 門脇住職 (66) は、 「紅葉の名所という自覚はなかった」 と笑う。
同寺を訪れても一見、 大きな茅葺き屋根に隠れ、 紅葉の姿は見えない。 ところが本堂内に入った途端、 裏庭の紅葉が目に飛び込んでくる意外性と、 雪見障子越しに見える紅葉など、 歴史を感じる室内から楽しむ風情が多くの観光客をひきつけた。
昨年は門脇住職と、 妻の厚子さん (61) が対応していたが、 来訪者が1000人近くになったため、 今年は檀家にも協力を呼びかけた。 有志約20人が事前に住職から寺の歴史などを学ぶ勉強会を開催。 11月中は1日4―5人体制で、 来客をもてなすことにした。 15、 16日には茶席を設けたり、 24日にはきねつきもち入りのぜんざいを振る舞った。
最初は資料を見ながら説明していた檀家らも、 徐々に口調もオリジナルに。 受付に置いたノートには 「ユーモアあふれる説明が楽しかった」 などの感想が並ぶ。 案内役の一人、 中西千鶴さん (70) は、 「十分な知識はないけれど、 お客さんとの出会いが楽しく、 当番の日はわくわくしています」 と目を輝かせる。
檀家代表総代の村岡茂男さん (72) は、 「お寺と檀家が一緒になって盛り上げようとしたところ、 穴場を見つけたと喜んでもらった」 と話す。 檀家の間では 「観光客にくっつき過ぎてもどうか」 「写真を撮るのが目的の人には自由に見てもらおう」 とコツもつかみ始めているといい、 12月には反省会を開いて来年につなげる。
紅葉はピークを過ぎたが、 今月中は楽しめる。 拝観無料。