兵庫県篠山市藤坂の元自動車整備士、 古林勉さん (77) が、 エンジン式の油圧まき割り機を開発した。 古いエンジンと車の油圧を活用し、 そのほかのパーツはすべて手作り。 開発理由は、 「公民館のグラウンドで、 みんなで暖を取りやすくするため」 と笑う。 これまでに水車の発電を活用したイルミネーションや自動もちつき機なども製作している“藤坂のエンジニア”は、 「モノづくりは楽しい。 今度は何を作ろうか」 と意気込む。
まき割り機は、 エンジンで油圧ポンプを回し、 伸縮するシリンダーで押し出した丸太を刃物に当てて割る仕組み。 昭和30年式の水冷式農業発動機とダンプに取り付けてあった油圧を再利用している。 古林さんによると、 駆動部の工夫で5近い力をかけることができるという。
もともと自動車の整備をしていたことから、 ものづくりが得意。 コレクションしていた石油エンジンを使って何か作れないかと考えていた。
公民館横のグラウンドは、 ゲートボールやグラウンドゴルフで利用する人が多く、 最近は寒くなってきたため、 たき火をして暖を取っている。 「小さいまきはいいけれど、 大きくなると割らなければならない。 高齢者が多いから、 まきを割るのも大変」 と古林さん。 そこでまき割り機を思いついた。
まき割り機は市販されているが、 そこはエンジニア。 創意工夫し、 延べ1カ月ほどで製作にこぎつけた。
古林さんは以前、 胃がんを患い、 入院した経験を持つ。 入院中から、 「もし元気になったらいろんなモノをつくりたい」 と考えていた。
「今はモノづくりが生きがい」 と話す古林さんは、 「自分がつくったもので、 人が喜んでくれたらうれしい」 とほほ笑んでいる。