兵庫県の丹波市不正事務処理に関する第三者委員会 (大内ますみ委員長) が3月27日、 辻重五郎市長に最終報告書を提出した。 昨年9月の中間報告では触れていなかった、 水道部の東芦田新水源マンガン流出事故と水質検査結果の隠ぺいについて検証したほか、 中間報告後に再発防止に向けて市がとった対応策を評価した。 大内委員長は、 「日常の課内管理で責任の所在があまりにもあいまい。 少なくとも水道部、 消防本部には 『事なかれ主義』 『隠ぺい体質』 があると感じた」 と述べ、 管理職のマネジメント能力の向上を促した。
マンガン流出と検査結果の隠ぺいは、 水質検査結果がファイリングされたまま放置されていたこと、 2人の職員が上司の指示もないのに事故原因となる配水作業を行ったこと、 管理職が水質検査結果の存在を隠したこと―などを疑問点としてあげ、 「組織員のバラバラな行動、 業務への理解不足、 管理職の 『事なかれ主義』 と隠ぺい体質など、 組織として末期的な機能不全に陥っていたというしかない」 と指摘した。
その上で、 水道部の不正事務処理や消防本部の不正入札にも共通する課題として、 ▽公金支出に対する正しい意識保有の必要性▽組織風土の改革▽管理職の意識改革と階層別役割、 能力の見直し―などを提言している。
また、 中間報告後に市不正事務処理等再発防止委員会が提出した17項目の再発防止対策について、 「組織としての運営のあり方や、 その責任を負う管理職のあり方については全く記されておらず不十分」 と指摘。 「個々の取り組みをバラバラに実施するのではなく、 行政経営システムとして統合的に運営していくことが重要」 などと提案した。
調査の過程で、 同委が管理職を対象に実施したアンケート調査で、 水道部、 消防本部以外の部署での不祥事の可能性について 「どちらともいえない」 を含めると、 80%近い管理職が 「起こりうる」 と回答していることから、 継続した粘り強い取り組み、 不祥事防止に向けた管理職のさらなる自覚と、 市としての一体感の醸成などを求めた。