時の流れ

2015.04.04
丹波春秋

 丹波新聞社に入社したのが34年前。氷上郡連合婦人会の記事をよく書いたものだった。取材をする婦人会役員からはパワーが伝わってきた。組織にも勢いがあり、地域での社会的存在感は大きかった。その連合婦人会が解散したという。往時を思い出す時、今昔の感に堪えない。▼女性の社会参加や生きがいづくりに連合婦人会が果たした功績は称賛に値する。しかし、連合婦人会の隆盛期と比べて今は、女性の活躍の場は広がり、サークルもずいぶん増えた。女性を取り巻く社会環境は変わった。そんな中、連合婦人会が幕を下ろした。▼時の移ろいを思わずにいられない。どんなに栄えたものでも、時の流れに抗せず、衰えることがある。時の流れは、世の中の事象を変えていく。それは世の道理であり、「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」という方丈記の一節そのままだ。▼道理とわかっていても、移ろいのはかなさが心にしみるとき、嘆息がもれる。時の移ろいに憂愁を覚えるからこそ、人は自然にひかれるのだろう。▼自然は、時の流れで盛衰することはない。自然にあるのは循環だ。良寛が、自分は死んでも春になると桜が咲き、夏にはホトトギスが鳴き、秋にはモミジの葉が散ると詠ったように、自然には永遠の生命性がある。今年も桜が咲いた。(Y)

 

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