仏教美術

2015.05.27
丹波春秋

 「インドの仏」展(東京国立博物館)を観覧。仏教美術では世界一級と言われる「コルカタ(カルカッタ)博物館」の所蔵品。▼釈迦が活動したのは紀元前6~5世紀頃とされるが、没後しばらくは法輪や菩提樹が信仰対象になっていた。その後、生誕から涅槃に至る「仏伝」を造形したものに変わり、1~3世紀頃になって今のような仏の姿が現れる。▼やがて土着の神々も取り入れ、様々な菩薩が登場するが、実に人間的な仏像が多い。釈迦の母、マーヤーも含めて女性は肉感的だし、色々ある釈迦像も共通して、顔もスタイルも惚れ惚れする。豪華な装飾品を身に付け、口髭までたくわえた弥勒菩薩は、当時の王族の身なりが原型という。当時の富裕層は、きわどいこともしたことへの贖罪の意を込め、また富めば富むほど先行きへの不安にかられ、寺への寄進に励んだのだろうか。▼ともあれ、偶像を厳しく排するイスラム教が時に原理主義に走るのに対し、仏教ではこうした多種多様の像が受け入れられ貧富を問わず安心をもたらしたことで比較的平和が保たれ、こうした文化遺産も多く遺ったのかもしれない。▼多数の犠牲者を出した今回のネパール地震では近隣のインド、バングラデシュ、チベットなどにも被害が及び、崩壊した遺跡も少なくないと聞く。気がかりである。(E)

 

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