料理

2015.05.09
丹波春秋

 野村利吉。春日町に生まれ、旧制柏原中学校を卒業後、小学校の代用教員を経て今の東京大学農学部に入学。のちに、天皇家の食事と供宴をつかさどる、当時の宮内省大膳寮で、その監督官である主膳監を務めた。▼こんな人物がいたことを「柏原高校百年史」で知った。野村は宮中の台所を預かり、施設やシステムの近代化を進めたらしい。共に働いたのが秋山徳蔵。天皇の料理番として知られ、今、放映されているテレビドラマのモデルになっている人物だ。▼連休中に秋山の著書2冊を読んだ。残念ながら野村は登場しなかったが、一流の料理人ならではの裏話に興味を持った。あちこちの料理店を訪ねて食べる機会が多いが、その味に素直に心酔することはないという。ついつい作り方や食材の産地に思いが及ぶなど、批判的に料理をみてしまうからだ。▼そんな秋山でも、しんから「うまい」と味わえる料理がある。家庭の総菜だ。妻や娘のつくる煮しめやおひたしは、真心がこもっているから文句なしにうまいという。▼「ものを食うのは、せんじつめてゆくと、口や舌でなく、魂が食うのだ」。つくる人の真心がこもった料理は、食べる人の魂に届く。今日は「母の日」。母親の日頃の労に感謝し、子どもが料理をつくる家もあるかもしれない。とびきりの味であろう。(Y)

 

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