大歳神社(丹波市山南町小野尻)

2015.08.06
中井一統特集

 多可町に向かう小野尻峠の左手前を入り、 しばらく行ってまた左手の山裾をめざす。 なかなか大きな拝殿が迎えてくれる。 境内摂社として、 恵比寿、 金毘羅、 愛宕、 天満、 そして山神社が左右に鎮座している。 地域住民の信仰の厚さを表している。
 この神社の本殿と拝殿に立派な彫り物がある。 本殿向背には、 躍動感溢れる竜の姿、 そのすぐ上には大きな獅子噛が下の梁に噛みついている。 兎の毛通しには鳳凰が大きく羽を広げている。 木鼻の唐獅子と獏、 肘木鼻には麒麟も見える。 脇障子も牡丹と唐獅子だ。 他に小さな彫り物も散見される。 拝殿の彫り物は多くはないが、 向背には左上向きの立派な竜、 迫力ある牡丹に唐獅子が彫られている。 この彫り物は1911年ごろの、 8代目中井正胤の作である。 本殿は6代目中井正貞の作。 残念なのは本殿の竜の目と尾が欠け、 鳳凰も頭がない。 彫り物への配慮もなく本殿と幣殿を繋いだのだろう。

元高校教諭 岸名経夫
 

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