柏原の小南山

2015.10.29
丹波春秋

 自治会の行事で柏原の小南山に登った際、登山口に「別名を神南備山、四面山ともいう」との説明看板があり、「神南備の山の榊葉幾度か時雨てもなお色はかわらじ」という古歌が添えられていた。▼同行した人が見せてくれた「歴史物語丹波柏原 続篇」(榊賢夫著)という本には「各地に移住して行った出雲族が住み馴れた故郷の美しく小高い山、かんなび(「神の辺り」の意)を連想して名付けたのでは」とあった。▼同書はまた明治時代に刊行された「柏原叢志」が、「神南備山の春翠」を「八幡層塔」、「殿跡の老松」、「権現山の新月」などと共に「柏原八景」の1つに挙げていることも紹介している。▼戦時中には敵機の来襲に備え、頂上に「対空監視哨」が設置されていたそうだが、低い山ながら今も人気があるようで、「兵庫丹波の山 氷上郡の山篇」(慶佐次盛一著)にも登場。「各地にある神奈(南)備山は鍋を伏せた形をした神体山で、スキー場のある神鍋山も「金鍋」または「鉄穴部」から来た。古代の鉄とも関係があり、製鉄民が神との交霊によって鉄の増産を願った」。▼小南山は確かに小さく可愛い山で、筆者も毎朝眺めているが、特別の感慨があるわけではない。しかし古代の人は何と切実な思いで、明治の人は何と風流を感じつつ見入っていたことだろうか。(E)

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