勢い止まらぬ「道の駅」 2年連続売り上げ過去最高更新 品数増で「地域の魅力満載」

2024.04.30
地域注目観光

秋の味覚を求め、多くの人でにぎわった道の駅丹波おばあちゃんの里=兵庫県丹波市春日町七日市で

舞鶴若狭自動車道、春日インターチェンジそばにある兵庫県丹波市の道の駅「丹波おばあちゃんの里」の昨年度の売り上げが約6億3600万円となり、過去最高だった一昨年度(約5億9900万円)を更新した。一昨年度と比べ、入館者数に変化はないが、買い物の1回当たりの購入金額を示す客単価が1520円から1607円に上昇。執行役員支配人兼駅長の野原正章さん(53)は、野菜や工芸品を卸す取引業者を増やしたり、特産を生かしたご当地商品を開発したりしたことで、「地域の魅力がより満載になったからでは」とみる。

野菜を出荷する「生産部会」の人数を、前年度から30人ほど増やして供給体制を強化。黒枝豆などを求めて最も多くの客が訪れる秋などでみられた品切れを減らした。同部会の売り上げは約1億6800万円(一昨年度比113・7%)を記録した。

木や畳などの素材を生かした工芸品や、菓子、日本茶などを扱う地元業者との取引も増やした。客の「見る楽しみ、買う楽しみ」(野原さん)をつくり、土産品の売り上げは約2億9600万円(一昨年度比111・4%)に上った。

2014―2023年度の売り上げ

規格外のスイートコーンを使った棒菓子「たんばのなんば棒」や、大納言小豆を生かした大判焼きといったオリジナル商品も積極的に開発し、好評を博した。

また、閑散期の2月には、ツアーを企画する旅行会社と連携し、冬の味覚が豊富な但馬や丹後地域へ向かう観光バスを中継地点として呼び込んだ。一昨年度のおよそ10倍となる93台のバスが訪れ、2900人近くが利用。売り上げは一昨年度比で123・4%を記録し、月別で最も大きく伸びた。

新聞やテレビ、ラジオなどのメディアにも積極的に情報を発信し、1週間に1・5回程度のペースで露出。ホームページの視聴回数は、一昨年度比の108%となる87万回超に及んだ。

再整備工事が始まった2021年以降、コロナ禍に見舞われながらも右肩上がりで売り上げを伸ばしている。一方で、人手が足りていない現状があるといい、正社員やパート従業員の採用に注力していく。

野原さんは「外貨を獲得し、利益を地域に分配するのは立地上の使命。目指すのは、食のテーマパークと呼べる、品数が豊富で、一部上場企業の社風も取り入れた『丹波のコストコ』」と話し、「激流の時代の中、変化のある所に人は集まる。去年にやっていたことを否定していかなければ、新しいものは生まれない」と力を込める。

関連記事