「道の駅」の農家支援企画始動 旬の農産物で商品開発 第1弾はキンカンジェラート

2024.03.22
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キンカンを生かして開発したジェラートを手にする早形室長と西川朋樹さん、あゆみさん(左から)=兵庫県丹波市春日町七日市で

兵庫県丹波市の道の駅「丹波おばあちゃんの里」が、同市内の小規模農家が生産する農産物を生かした飲食メニューを開発する「ふるさと農家応援プロジェクト」を始めた。第1弾として、昨年に新規就農した夫婦が営む「にしかわ農園」(同市春日町)のキンカンを使ったジェラートを発売した。特産に限らず、旬の農産物を使い、小規模農家を支援する。同道の駅は「農家が元気になれば、市全体も元気になる」と期待する。

同農園を営むのは西川朋樹さん(44)とあゆみさん(40)。朋樹さんが通年で有機農業を学ぶ丹波市立農の学校を卒業後、就農。有機農業で、丹波の気候に合う約15種類の青果を1ヘクタールほど栽培する。

ジェラートは同農園で収穫したキンカンを同道の駅が買い取り、加工したジャムを、一番人気のミルクと組み合わせる。酸味が爽やかで、細かく刻んだ皮が食感のアクセントになる。あゆみさんは「さっぱりしていて、万人受けする味」とアピールする。

2006年の開業後、500万人以上が訪れている同道の駅。フードコートがあり、充実させたジェラートやベーカリーの製造設備を生かし、「生産者と消費者の接点をつくりたい」と考えた。これまで、黒豆や黒ゴマなどを使ったジェラート、スイートコーンを使った棒菓子などを展開。これらはまとまった量の原料が求められ、生産者も数十人単位で必要だった。

同プロジェクトは、一農家の少量品目でも、メニュー化をはかる。同道の駅の出荷農家が対象。店頭に農家をPRするチラシなどを掲示する。ゆくゆくは、売り上げの一部を生産者に還元する体制の構築をもくろむ。

朋樹さんは「キンカンを果実のまま売るのは難しく、加工は切り離せない。だが、自前で加工施設を用意するのは資金面でハードルが高い。京阪神から多くのお客さんを呼ぶ道の駅に協力してもらえるのはありがたい」と感謝する。

同道の駅経営管理室の早形敏樹室長(47)は「メニューの食材を生産した農家をダイレクトにアピールしたい。飲食メニューを味わったお客さんが店の中で、その農家が出荷している農産物を手に取り、関心を持ってもらうきっかけになれば。『これは自分の商品』と言えることで、農業に取り組む励みにもなるはず」と力を込める。

シングルカップで380円。なくなり次第販売終了。ジェラート売り場の営業時間は午前9時半―午後5時。

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