紅葉狩りの観光客で丹波市が最もにぎわう「行楽の秋」の11月は、雨に泣かされた。記録的な少雨だった10月と異なり、月の前半、週末になると天気が崩れた。
冷え込みが弱いせいで色づきも悪く、例年ほど楽しめなかったが、シーズンも終わりになって、はっとする光景に出会った。
ぐっと冷え込んだ26日、青垣町桧倉の「もみじロード」を通りかかった際、鮮烈なレモン色の木が数本飛び込んできた。まるでイチョウのよう。毎日通っていて、前日まではなかった。不思議に思って引き返してよく見ると、イチョウではなく、やはりカエデだった。
絵に描いたような「黄葉」。何でこんなことになったんだろう、と観察していると、赤や茶色の葉がすっかり落葉していることに気づいた。
25日は雨と共に強い風が吹いた。ここで紅葉し、枯れた葉は吹き飛ばされ、風に負けず残った若い青葉が急激な冷え込みで一夜にして黄葉した、と見ている。真相は分からないが、今年一番に美しいカエデだった。(足立智和)