国道372号線・丹南バイパスの道路改良工事に伴い、発掘が進められていた兵庫県篠山市波賀野の「波賀野遺跡」の第3次発掘調査が完了し、平安末期や鎌倉時代(10世紀末―13世紀)とみられる鍛冶炉跡などが見つかった。昨年の2次調査でも隣接地区から室町時代前期(14―15世紀)の鍛冶炉跡が出土しており、数百年にわたって周辺地域に鉄製品を供給した鍛冶工房が存在していたとみられる。発掘を担当した県まちづくり技術センター埋蔵文化財調査部などは2月21日午後1時半から、現地で説明会を開く。
約1000平方メートルを対象とした3次調査は昨年12月から開始。今回が最終調査となる。
円形の鍛冶炉跡は直径が1メートルや90センチのものなどが計3カ所で確認でき、使用した炭が黒く残る。周辺からはくぎ(長さ4・5センチ)や矢じり(長さ5・5センチ、幅3センチ)の一部や製鉄の際の残りかす「鉄滓(てっさい)」も複数出土している。出土した須恵器や瓦器(がき)の形状から年代を特定した。
また有力者を埋葬したとみられる墓も2基確認でき、ほぼ完形の中国製の白磁(直径16センチ)や鉄の小刀(長さ30センチ)などの副葬品が埋葬されていた。ほかに掘立柱建物跡も確認されている。
火を扱う鍛冶工房や墓が集落の中心部にあったとは考えにくいため、現場一帯は集落の縁辺部と考えられるという。