ここ最近、オフロードバイクで廃村をめぐるツーリングを楽しんでいる。この趣味の魅力を共有しあえる友人はわずかに1人。その他大勢、家族からも「何がおもしろいの」と、すっかり奇異の目で見られてしまっているが「我関せず」―。
丹後半島の山中には廃村が比較的多く見られる。目的地に着くと、ぶらぶらと散策を開始。家が立ち並び、田畑が広がり、村はずれには墓地や神社がある。それらはすべて過去の幻影。今ではすっかり森にのみ込まれ、住居であった手掛かりは苔むした石垣が教えてくれ、足元に転がる透明度の低いガラス瓶や瀬戸物の破片などが、当時の村人たちの日常を伝えている。過去の暮らしの息遣いが容易に想像できるだけに、朽ち果てた姿は胸に迫るものがある。
今月初め、弊紙篠山版で篠山市の人口推計に関する記事を掲載した。市は、人口減への歯止め策を何も講じなかった場合、2060年には現在の約半数の2万1000人程度になると試算。もう、よその地域の歴史を振り返って、感傷に浸っている場合ではないのかもしれない。(太治庄三)