兵庫県丹波市春日町棚原の「棚原相撲甚句保存会」(山内一央会長、20人)が10月30日に丹波の森公苑で開かれる「丹波ふれあいフェスティバル」のステージに出演する。郷土芸能を継承しようと近年、消防団を卒団した40歳代前半の会員が入会、会が活性化している。若手とベテランが一体となり、舞台を盛り上げる。
棚原に伝わる、大正末期まで続いた大坂相撲の化粧まわしを活用しようと、1993年に有志が保存会を立ち上げ、郷土芸能として秋まつりで甚句の奉納を続けてきた。しかし高齢化で会員が一時10人ほどに減った。伝わる化粧回しが6つあり、土俵で所作をする力士役が6人、甚句を歌う担当が2人、行司、呼び込みなど、奉納に必要な人数を確保するのに汲々とするようになった。
このままでは保存会が消滅しかねないと危機感を抱いた山内会長が若手を熱心に勧誘。地元に同級生が大勢いた昭和49年度生まれの6人が数年前に入会し、6人と懇意にしているその下の年代も加わり、20人ほどに回復。先輩が新人に教え、若手が力士役を務めるようになり、甚句の歌い手も養成できた。
今年は秋まつりの奉納のほか、国領校区の「健民運動会」に出演、ふれあいフェスティバルと、例年より多い3度の上演機会を得た。
昭和49年度組で力士役の近藤泰弘さんは「棚原を盛り上げようという同級生が多かった」と言う。保存会に入るまで会の存在は知らず、先輩に教わったり、動画投稿サイトで所作を覚えた。甚句や呼び込みを担当する谷垣吉春さんは、「字余り、字足らずの所をうまく節にのせて歌うのが難しい」と言い、車の中で鼻歌を歌って練習しているという。弓取り式を任されている団野俊和さんは「難しいが、大きく、かっこ良く勇壮な土俵入りをしたい」と話している。