分かち合い

2016.11.19
丹波春秋

 きょう投開票される丹波市長、市議選挙で多くの候補者が人口減少対策を喫緊の課題として訴えている。人口減少は全国の各自治体にとって切実な問題であり、あの手この手の対策を打ち出している。▼定住・移住の支援制度も百花繚乱だ。町が分譲する団地の宅地を購入すると500万円の定額補助金を支給する町があれば、移住者に町所有の団地の土地を無償譲渡する町、移住者に米1年分をプレゼントする町、さらには子牛1頭を支給するという村もある。▼それぞれの自治体が乏しい財源を工面し、物量作戦を展開している感がある。国の地方創生の方針の影響も受け、支援制度は拡充傾向にあるらしい。丹波市、篠山市でも定住促進に住宅補助金制度を設けるなど人口減少対策に懸命だ。▼対策を講じるのはいいが、移住希望者をめぐって各自治体が分捕り合戦をしているような点が気にかかる。分捕りはいわば奪い合いであり、共食いだ。自分だけ危機を免れる、自分だけ得をしようという奪い合いの行きつく先の最悪のパターンは共倒れだ。▼自治体の枠を越え、もっと広域的に定住・移住に取り組めないものかと思う。近接の自治体間でしのぎを削るのでなく、同じ目的に向かって連携できないものか。奪い合いではなく、分かち合いの発想が必要と考える。(Y)

関連記事