兵庫県丹波市は4―5月ごろに、国史跡「黒井城跡」周辺500ヘクタールの航空レーザー測量を実施する。同史跡がある猪ノ口山系、千丈寺山系は、春日、市島両地域にまたがっているが、国史跡に指定されているのは春日地域の120ヘクタールのみ。春日地域は、過去に文化財調査が行われたが、市島地域は手つかず。春日地域でもこれまでに確認されているもののほかに遺構があることから、市島と合わせて広域的に調査し、黒井城の全容解明に挑む。
航空機から木々の隙間をぬって地面に達するレーザーを照射し、はね返ってきたものをデータ化し、3次元の「立体地図」を作成する。
同史跡を含む同山系は、春日と市島の町境。市島の美和地区(戸坂、白毫寺など)と接している。
1989年に国指定史跡になった同城跡だが、この時はさまざまな事情で市島地域を含めずに指定を受けた。93年に春日町が同城跡の保存管理計画を策定するにあたり、大がかりな調査を実施。現在黒井城の遺構とされている本城、曲輪、砦、土塁、堀切りなどはこの時に台帳に登載された。しかし、登山道を外れた場所で、台帳に未登載の遺構が複数確認されている。今回の調査で、調査漏れ部分を洗い出すと共に、春日と同じぐらいの面積がある、本城から北側の市島地域を調べる。
市が今年度設置した「黒井城跡整備委員会」(委員長=北垣聡一郎・金沢城調査研究所名誉所長、5人)から、「黒井城跡で保護しなければいけないのは春日側だけなのか」と提起があり、全体像を把握することになった。