気軽に語れる場つくる
獅子や狛犬の研究などを通し、地域の歴史をひも解く活動に取り組む。女性ならではの視点を生かし、地域史研究に新しい風を吹き込む。
大学まで神戸で過ごし、東京で学校教材関係の出版社に勤務。縁あって丹波市内で住むようになって5年目。丹波で生活するようになったころ、「ぶらりと神社を訪ねた時、獅子や狛犬が微笑んでいるように感じた」と振り返る。「風雪に耐え、何百年と神社に鎮座するその愛らしく、たくましい姿に魅せられ、研究にのめり込んだ」と話す。
「訪れた神社で、宮司さんや世話をする人たちに大変親切にしていただき、調査がスムーズに進んだ」と感謝する。「使われた素材や作者、制作年代などを解明することで、その時代の背景、人々の暮らしが読み取れるのが魅力。先祖がどのような思いで奉納したかなどを考えればわくわくする」。新発見としては、市島などで福井県産の笏谷石製の作品が見られ、丹波との接点がうかがえたことなど興味深い成果も得られた。
中井権次顕彰会の下絵委員会委員長として、彫刻作品の下絵の調査保存活動にも携わる。「下絵は、中井権次の末えいで11代目にあたる宮津市の中井光夫さんの協力で、会員の皆さんと一緒に調査している。銘のない作品でも、何代目の作品か特定できる下絵が見つかり、作品と一致した時は感激した」という。
経験を生かして、地域の歴史、文化などの様々な疑問に対し、各専門機関や団体と連携し、対応できるNPO法人をつくるのが夢。「まずは、気軽に参加し、語り合える講座開催や写真を中心にした資料冊子の発行などの活動を近く始める」とPRする。57歳。