大統領と首相

2017.08.10
丹波春秋

 トランプ米大統領がフランスのマクロン新大統領に招かれた際、記者会見で地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱について「話し合えば何かが起こるかも知れない」と言った。この世界的な暑さで、さすがに「でっち上げ」の持論を考え直したのかと思ったが、そうではなく、単なるリップサービスだったようだ。

 毎日新聞のコラム「金言」(7月21日号)によると昼食会でマクロン氏は、トランプ氏が仏大統領選でマクロン氏と対立した極右候補を応援したことなどおくびにも出さず、記者会見でも歴代仏大統領では異例の英語を使ったので、トランプ氏はすっかり気を良くしてしまった。

 まだ40歳にもなっていないマクロン氏は、文学や文化への造詣も相当に深く、父親ほどの年のトランプ氏も一目置くほどという。「米国ファースト」や英国のEU離脱で暗雲漂う欧州を何とかまとめていってほしい。

 さて日本の首相では、戦後でも石橋湛山や大平正芳の教養はなかなかのものだったと言われるが、しかし漢字をろくに読めない人さえ出てくるようでは、笑ってもいられない。

 漢詩に長けた首相が出現でもすれば、日中関係も相当改善できるのではと思うが、やはり“ないものねだり”か。仮に出ても、昨今は向こうでもちゃんと対応できる人が…。(E)

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