日報問題

2017.08.03
丹波春秋

 「PKO(国連平和維持活動)変わる任務 平和維持から武力制圧へ」という見出しで毎日新聞(7月31日)が、コンゴのジャングルで国連から派遣された大部隊が反政府ゲリラの抗戦に手を焼いている様子をルポしている。

 日本の自衛隊が1992年に初めて参加したカンボジアでは、道路の修理や停戦監視などに当たったが、コンゴでは国連部隊が先制攻撃も可能な強制介入の権限を与えられ、自身が紛争当事者になっているのだ。

 南スーダンでは停戦合意が崩れ、内戦状態となって大量の避難民が出ている中で自衛隊がインフラ整備のほか、「かけつけ警護」などの任務を負わされて活動してきたが、現地の情勢は日報に「戦闘」と記録するほど険悪に。

 そんな状況では憲法に抵触するし、PKO協力法の参加5原則にもはずれることから、外部に日報のことは隠され、「積極的平和主義」を主唱する安倍首相は「戦闘でなく『武力衝突』」と答弁して追及をかわしていたが、今年3月になって、治安の悪化には触れないまま「一定の区切りがついた」との理由付けで撤退せざるを得なかった。

 日報問題は稲田防衛相の事実上更迭で幕を引く気配だが、安保関連法で一層強められた国際紛争への日本の関わり方をもう一度、根本から検証する。それこそが今回の問題の教訓では。(E)

関連記事