今年もタケノコ争奪戦の幕が切って落とされた。相手は人間ではなくイノシシ。
初戦は「約30対5」でボロ負けだった。今回、かろうじて手にできたタケノコは大きくなり過ぎた3本と、小さくてスカスカの2本。イノシシの嗅覚はイヌ並みだ。その鼻を武器にタケノコが地表に顔を出す前に掘り当て食べてしまうので、とても勝ち目はない。それでも5本残してくれたイノシシに感謝しながら、春の味覚の調理に入る。
我が家では茹でた後、マヨネーズを塗ってしょう油を垂らし、さらにオーブンで焼き上げる「マヨ焼き」が定番。野趣あふれる香りはそのままに、歯切れのよい食感とマヨネーズとしょう油のコクが口の中に広がる。家族一同、「もっと食べたいな」と、毎年、物足りない気持ちで季節を終える。もうしばらくタケノコの収穫は続くが、あと数本、口にできたら上出来か。
イノシシには毎年してやられ、「こん畜生」と思う反面、私たち人間は地球上のあらゆる資源を独占しているのだから、山菜くらい野生動物と分かち合ってもいいかな、と本気で憎めずにもいる。(太治庄三)