兵庫県篠山市吹上の農業、瀧山玲子さん(55)が、自宅近くで栽培している9種類の「古代米」が赤、黄、白、薄紫など、色とりどりの稲穂をつけている。瀧山さんは、「『丹波』(篠山市を含む旧国名)は、『赤い稲穂が波のように揺れている』から来ているともされるので、昔の丹波はこんな景色だったのかな、と想像しています」とほほ笑む。
品種は、古代稲、朝紫、神丹穂、戸隠、豊の栄、神庭の紅、紅林、稲美翁、鈴稲。食用にもできるが、神社などに奉納する飾り物に加工されることもある。
昨年1月、国内外の古代米を集め、栽培に取り組んできた京都府の人が高齢を理由に引退、種もみを譲り受けた同じ兵庫県小野市の女性が継承しているということを知った瀧山さん。女性が手にした色鮮やかな古代米の美しさに惚れ、種もみを譲ってもらった。
昨年は苗箱で苗を作ったものの、植える場所が決まらずに断念。今年はそれまで野菜を育てていた畑(0・5アール)に種もみを植え、日照りや大雨、台風にも負けず、実を付けるところまでこぎつけた。
元が畑のため、水の管理が大変だった。また、除草剤を使わないので雑草は手で引くなどして、手間暇をかけた。
苦労した古代米が鮮やかな色を付け、瀧山さんは、「忙しい時でも稲穂を見ると癒やされます」とにっこり。今後、種もみにする分を残して手で刈り取り、変色を防ぐ処理を施して地域のイベントなどで展示するという。
希望者には種もみを提供する予定で、「古代米づくりを楽しむ仲間が増えたらうれしい」と話している。