市名を「丹波篠山市」にするかどうかを巡る市名変更問題に揺れる篠山市の酒井隆明市長は2日、市役所で記者会見を開き、来年2月の任期満了を待たずに辞任し、早くて11月中、遅くとも年内に実施が想定されている市名変更の是非を問う住民投票と合わせて、出直し市長選に出馬する意向を明らかにした。辞任の時期は、近く想定される市民団体からの住民投票の請求日とした。
同市の常設型住民投票条例は、投票率が50%を下回った場合、開票もされず、市が9月議会に上程した関連費用約2600万円が無駄になる。
そのため、会見で酒井市長は、「もしここでまた決まらなければ、議会も紛糾するし、いつまでも市名問題が解決できない。今回できっちり解決したいと訴えていきたい」とし、「私自身も進退をかけることで、それだけの大事な局面にあるということを市民に理解してもらい、市民みんなで純粋に市名を考えてほしい。結果的に投票率の向上にもつながるのではと考える」と話した。
酒井市長によると、出直し選挙の費用は、住民投票費用に450万円から500万円の上積みになるといい、「きちんと解決できるきっかけになるならばやむを得ないと判断した」と話した。
酒井市長が3選を果たした前回の市長選(2015年)は無投票。11年の投票率は48・45%。07年は同59・64%だった。
ただし、公職選挙法では出直し選挙で現職市長が当選した場合は、選挙前の任期満了までが任期となるため、来年2月の市長選は予定通り実施される。対立候補が当選した場合は、選挙日から4年の任期となる。
住民投票で市名変更に「反対」が多いにもかかわらず、酒井市長が再選した場合は、「ねじれ」が発生する。その場合、酒井市長は、「市名変更を進めることはできなくなる」としながら、来年の市長選への出馬は明言を避けた。
市名変更を巡っては、住民投票の実施を求める「市名の名付け親になろう会」が条例で必要な署名数(7066筆)を超える1万271筆を集め、9月14日に市選挙管理委員会に提出した。
4日まで署名の縦覧が行われており、5日以降に同会が市長に住民投票の実施を正式に請求する見通し。その後、市長は90日以内に住民投票を行わなければならない。
市長の辞任後は50日以内に市長選を行わなければならない。