「丹波篠山市」誕生へ 住民投票「賛成」多数 前職・酒井氏が4選


支持者を前に新たなまちづくりへの意欲を語る酒井氏=兵庫県篠山市二階町で

 兵庫県篠山市の市名を「丹波篠山市」にするかどうかを巡る住民投票が18日、投開票され、市名変更に「賛成」が1万3646票、「反対」が1万518票で、賛成多数となった。合わせて実施された同市長選では、変更を推進した前職で無所属の酒井隆明氏(64)=同市岩崎=が、前市議で無所属の奥土居帥心氏(60)=同市味間新=に大差をつけて勝利。4選を果たした酒井氏は今月27日にも臨時議会を招集し、変更条例を提案する方針を示し、来年5月の元号変更に合わせて市名を「丹波篠山市」に変更することが確実となった。住民投票の投票率は69・79%(当日有権者数3万5005人)で、住民投票成立要件の50%を突破し、高い民度を全国に示した。

 住民投票は、市名を丹波篠山市にすることについて「賛成」か「反対」のどちらかに丸を入れる方式で実施。割合では賛成が56・4%を獲得し、反対の43・6%を12・8ポイント上回った。

 成立要件の投票率50%を超えるかが関門だったが、期日前投票時点で29・7%に達するなど、関心の高さをうかがわせた。

 篠山市の住民投票は、市の条例に基づくもので、法的な拘束力はないものの、その結果を首長や議会は「尊重しなければならない」とされる。

 市長選を巡っては、酒井氏は、今年8月に市として市名変更を意思決定した後に、住民団体「市名の名付け親になろう会」が1万人以上の署名を集めて住民投票の実施を請求したことから、「市民に信を問いたい」として辞職。出直し市長選に臨み、「丹波篠山市」への変更を訴えた。

 酒井氏はスクーターに乗って市内を駆け巡り、支援者らはイメージカラーの緑色のジャンパーを着て要所要所に立つなどし、高い結束で支持を集めた。当選と、「丹波篠山市」への賛成多数の投票を受け、支持者の前に立った酒井氏は、「ようやく、市名問題を解決できた。多くの市民の方が自分事としてとらえられ、市民の力を全国に示すことができたことを誇らしく思う。その上で、丹波篠山市が誕生することになった。賛否の議論は今日で打ち切り、みんなで丹波篠山を盛り上げていきましょう」と声を張り上げた。

 対抗馬として立候補した奥土居氏は、「住民投票は政争の具にしない」「市名は住民投票の結果を尊重する」として自身の賛否を表明せず、酒井氏の市政運営を批判して支持を訴え、酒井氏への批判票や市名変更に反対する人の受け皿になったが、3期の実績と盤石の組織態勢で臨んだ酒井氏には及ばなかった。

 

4選の酒井隆明氏 新たなまちづくり語る

 当選から一夜明けた19日、酒井氏がインタビューに答えた。

 ◆市名を巡る住民投票と市長選を終えて

 変更への賛否の議論が続いたり、市民の間で対立のようなものが起こっていたが、それを乗り越えて、市民の心が一つになった。賛否の議論はこれで終わり。明日からみんなで新たなまちづくりに励んでいきたい。

 しかも、投票率が約70%となり、自分たちの市の名前を自分たちで決めることができた。市民の力を全国に示すことができたと誇らしく思う。

 まちづくりの一番の元は「誇り」。誇りの根源にあるのが「丹波篠山」であり、先人が築かれたブランド。改めて、これからも丹波篠山を未来に継いでいく。

 ◆市名の決着は住民請求による住民投票になった

 住民投票になって、幸い高い投票率の中で賛成が得られ、これ以上ない解決の方法だと思う。実施された団体はもちろん、賛成、反対を主張された団体や、投票に行っていただいた市民のみなさんの力で、今日の良い日が迎えられた。

 ◆変更反対票が1万票を超えた

 思った以上に反対票が多く、真摯に受け止めなければならない。反対の人もふるさとのことを考えてのことだったと思っている。変更に当たっては、できるだけ市民に負担がないようにしなければならないし、「丹波篠山市になってよかった」と思ってもらえるようにしなければならない。

 ◆過去には「市民は二分していない」としていたが

 二分していたとは思わないが、変更の必要性を感じて頂けない人があったのだと思う。

 市としては市内200カ所以上で説明会を開き、多くの人に理解してもらえたということで変更の意思決定をした。しかし、精一杯の努力はしたが、十分な説明が行き届いていないと感じた。

 また、同じ市民でもそれぞれが置かれた立場で、必要性を強く感じる人と、感じない人がおり、なかなか議論が深まらなかった。

 ◆今後の流れは

 すみやかに市議会に条例案を上程する。11月27日に臨時議会を開く予定で進めており、市民や事業所の負担を少なくするため、来年5月の元号変更に合わせて変更したい。市議の多くも住民投票の結果を尊重していただけると思っている。

 ◆昨年12月に「市名変更に」と1億円の寄付があった

 行政に使う費用と、企業などへの支援に使っていく方向で検討したい。

 企業、事業所で特別に市名変更に係る費用がかかる場合は、商工会と一緒になって、いくらかの支援をしていく。また、新たにPRの取り組みが生まれるなら、そちらも支援していきたい。

 ◆来年2月に任期満了の選挙がある

 もう少し、丹波篠山市の土台作りにがんばっていきたいという気持ちを持っている。

 ◆市長選が同時実施となったことで、住民投票の賛否を訴える活動が制限された

 告示までに議論は尽くせた。選挙でさらに盛り上げることができた。

 ◆駅名、インターチェンジ名も変更するとしていた

 駅名、インターチェンジ名の変更は市名変更の出発点。ともに名称を合わせた方が効果が上がることは間違いないと思う。ただ、変更すると全国的にいろんな表示を変えなければならないので、できるだけ費用がかからない機会をとらえて、要望していくことになると思う。具体的にはまだ決まっていない。

 ◆丹波市との今後の関係は

 うちは「丹波の篠山だ」ということで、丹波市に負けないようにPRし、共存共栄でがんばっていきたい。

 ◆市民の間には多かれ少なかれ溝ができた

 なかなか溝が埋まらず、結局は住民投票で決した。反対された人は自分の置かれた立場で反対されたが、市民全体で考えた時に賛成が多数だったということを認めていただいた上で、良い方向でみんなでがんばっていくべきだと思う。

・支持者を前に新たなまちづくりへの意欲を語る酒井氏=兵庫県篠山市二階町で