新元号「令和」が発表された翌日の2日、毎年、元日に髪を筆の代わりにして干支を書くという、その名も「人間書き初め」を行っている兵庫県丹波市出身の有志らが、新元号を祝おうと、頭を使って「令和」の文字をしたためた。メンバーの一人、安達淳也さん(35)=同県篠山市=は「新しい時代に向けて、新しいことに挑戦できて良かった」と話していた。
有志らは、丹波市立氷上中学校を1999年に卒業した同級生約10人。24歳の年男年女になる2007年の元日から、「日本の文化を楽しみながら世界に発信しよう」と、毎年、干支を「人間書き初め」し、ネットで配信してきた。
筆役は毎年入れ替わり、筆役の自宅の前で書き初め。18年の「戌(いぬ)」で一巡したため、今年は元日に行わず、新元号発表時に行うことにしていた。
2日午前、筆役の伏田智さん(35)=同県丹波市=宅のガレージに段ボールが敷かれ、その上に横90センチ、縦2・2メートルの障子紙が置かれた。
同級生たちは伏田さんの自宅で着替え、上半身裸のももひき姿で登場。逆さになった伏田さんを4人で抱え、墨汁がたっぷり入ったバケツに頭をドボン。「令」の1画目から書き始めた。
これまで干支の1文字しか書いてこなかった同級生たちにとって、2文字は未知の世界。途中休憩もせず、「和」の文字に入ると、画数が多いこともあり、立っていた「筆」が段々と寝るように。気合を入れ直して、書き終えると、みんなで肩を組み、雄叫びを上げた。
メンバーの荻野真也さん(35)=大阪府高槻市=は「みんなでいい作品ができた。大阪からこのためだけに帰郷した甲斐があった」と言い、福田隼人さん(35)=兵庫県加東市=は「筆役も持ち役も互いに信頼し、よい作品ができた」と喜んでいた。