女性の共感回路

2019.06.30
丹波春秋未―コラム

 数人でゲームをする。その中に、ズルをする者がいる。その人には、罰として微量の電気を流す。電気が流れると当然、痛みが走る。そのとき、ゲームに参加した人は、痛がる人を見てどう思うか。こんな実験を行ったところ、男性と女性では有意な差が見られた。

 男性は、「ズルをした報い」と考え、痛がる人に同情しない傾向があった。対して女性は、自分も痛みを感じ、痛みをわかろうとした。脳科学者の茂木健一郎氏は、「男と女では共感回路の働き方が違う」という。男性は、状況に応じて共感回路をオンにしたりオフにするが、女性はどんな時もある程度、共感回路が働くらしい。

 過日の本紙に掲載した石蔵文信さんの講演録が面白かった。石蔵さんの行ったアンケートによると、離婚を考えている妻は「しばしば」と「たまに」を合わせて8割を超えた。

 石蔵氏によると、女性は離婚後の経済事情を考え、離婚を踏みとどまっているという。でも、ほかにも理由があるのではないか。離婚をし、独り身になった夫に待ち受けている末路を想像し、あわれんでいるからでは。女性特有の共感回路が働いているためではないか。

 そんな仮説を考えてみたが、石蔵氏は別のアンケート結果も示した。「早く夫が死んでしまえばいいのに」と思った女性は55%いた。うーん。(Y)

関連記事