ラグビー

2019.10.03
丹波春秋未―コラム

 大旋風を巻き起こしたラグビー日本のアイルランド戦快勝。日本チームは前回ワールドカップで南アフリカを倒した頃から急速に成長してきた。猛烈な練習の賜物に違いないが、もっと基本的には、やはり外からの多くの選手の加入だ。

 今回の代表31人のうち外国籍・出身者はニュージーランド、オーストラリア、トンガ、サモア、南アフリカ、韓国など16人。田村や福岡、姫野、堀江、田中らの活躍は無論めざましいが、主将リーチ・マイケルを初め外国勢の支えがあってこそ、世界2位にタックルやスクラムで互角以上に戦えた。混成であっても、「チームを一つに」の意識が全員に浸み渡っている。

 相手のアイルランドにも特徴があった。アイルランド共和国と、英国の一部である北アイルランド、つまり2つの国から選手が出ている。双方の住民の間では長年、歴史的な経緯や宗教の違いなどから様々な軋轢があり、テロ事件も続発していたが、近年になってようやく落ち着いた。ラグビー会場では「共に肩を組んで」という「アイルランズ・コール」が国歌の代わりに歌われる。

 ひどい黒人差別が続いた南アフリカでも、現在では代表チームに多数の黒人選手を抱え、主将まで出るように。ラグビーは世界の人を1つにつなぐ力を秘めているのだろう。(E)

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