来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公、明智光秀が激戦を繰り広げた兵庫県丹波地域(丹波市、丹波篠山市)で、雲海に浮かぶ光秀ゆかりの3城跡を、県山岳連盟常任理事の方山文生さん(61)=丹波市柏原町田路=が上空からドローンで撮影した。
丹波市春日町の「黒井城」(猪ノ口山山頂・標高356メートル)、丹波篠山市の「八上城」(高城山山頂・標高459メートル)、丹波市と丹波篠山市の市境にある「金山城」(金山山頂・標高540メートル)の3城跡。
戦国時代の天正年間、織田信長の命を受けて丹波平定戦「丹波攻め」に挑んだ光秀。黒井城は当時、氷上郡(現・丹波市)に覇を唱えていた赤井直正の、八上城は直正と連携して光秀を退却に追いやった多紀郡(現・丹波篠山市)の波多野秀治の居城で、金山城は黒井、八上両城の連携を分断するために光秀が築いた城と伝わる。
雲海の撮影は、11月1日から13日にかけてそれぞれ行った。雲海はいつでも見られるとは限らないが、気象庁ホームページで天気図を読み、雲海出現の有無を確実に予測して登ったという。
午前5時ごろからドローンセットを背負って登山を開始。山道は真っ暗なため、ヘッドランプをつける。山頂では、午前6―7時ごろの日の出前後を重点的に撮影。「なるべく遠くから城跡に迫るアングルを心がけた」と話す。手元の画面を見ながら、霧の中から高度を上げて撮ったり、山のシルエットを出すために逆光で撮ったりと、工夫を凝らした。
他にも登山者がいる場合は、「ドローンの音が大きいので、なるべくじゃまにならないように気を付けた」という方山さん。「ドローンを操っていると、本当に鳥の目になったよう。丹波霧はやはりきれいだと実感した。山城は主要交通網がよく見えるいい場所を選んでいるなと思い、戦国武将の気持ちになった」と笑顔で話していた。
ドローンでの山城撮影は、両市を「つなぐ」ことをテーマに活動する丹波地域ビジョン委員会の活動の一環。方山さんもメンバーで、「麒麟がくる」にちなみ、3城跡の撮影を行った。