1月から戦国武将・明智光秀を主人公に、群雄割拠の乱世を描いたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放映がはじまる。織田信長の命により、2度にわたって兵庫・京都にまたがる旧丹波国に対して、「丹波攻め」を行った光秀。光秀と激戦を繰り広げた兵庫県丹波篠山市の八上城の地元は「大河」決定を地域活性化の好機ととらえ、熱心に活動を展開している。その内容と思いを追った。
光秀に滅ぼされた波多野氏の居城である八上城跡。「大河」決定後、おひざ元の住民らは「八上城麒麟がくる委員会」(10人)を結成し、さまざまな活動に取り組んでいる。最終目的地は、「地域の活性化」。外部の人に訪問してもらうだけでなく、「ここで暮らす人々が盛り上がり、どこへ行っても胸を張って、『八上っ子』と言えるようになること」だ。
まずは改めて八上城や光秀を見つめ直すため、学習会や映画鑑賞会を開催。登山会や登山道の清掃などのほか、児童たちに歴史を伝える「八上っ子ガイド」の育成などに取り組んできた。
高城山は地域のシンボル。小野健二委員長(42)は、「お年寄りの方が、『ずっと登りたかった。40年ぶりや』と言ってくれたのが一番うれしかった」と振り返る。
こだわっているのは、「内側」。校区の夏祭りには、メンバーの新家悟さん(71)が秀治公に扮し、小島一郎さん(67)が傾奇者の衣装と化粧で登場。新家さんが、「高城慕情」などを熱唱し、小島さんが創作の舞を披露した。すべては「地元が盛り上がる」ために。
メンバーの永曽佳子さん(60)は、「高城山を生かしたまちづくりは今に始まったことではなく、先人の積み重ね。それが大河決定で一気に加速している。本当にいい機会」とほほ笑む。
小野さんは言う。
「城周辺にもたくさん良いところがある。盛り上がりを一過性にせず、放映が終わった後も活動したい。そして、子どもたちが八上を離れたとしても、また戻ってきて、次の世代に八上城のことを伝えてくれたら」