朝鮮人とみられる鉱山事故犠牲者の慰霊碑＝2020年2月3日午前10時10分、兵庫県丹波篠山市福井で

戦前から戦後にかけて、「珪石」が採掘された兵庫県丹波篠山市の「鳥山鉱山」で、昭和23年（1948）に起きた落盤事故で亡くなった朝鮮人とみられる3人の慰霊碑が、同市福井の豊林寺にある。市内で在日コリアンの足跡などを調査している市民グループが2018年に発見した。設置者は不明で、メンバーらは、「同僚や村の人が設置したのでは。このような碑は全国的に珍しく、日本人も朝鮮人も、ともに地域の産業を支えていた証しともいえる」と話す。同グループは、碑の存在を伝える銘板を設置する予定で、費用面での協力を呼び掛けている。また、犠牲者や当時を知る人の情報も募っている。

慰霊碑は高さ約1メートル。左側面には「為鳥山鉱山殉職者之霊菩提」とあり、右側面に「殉職者名」とし「武田三童」「上野三郎」「金本容鎬」の名が記されている。建立者や年月日などは書かれていない。

市民グループ「銘板設置の会」によると、「鳥山鉱山」は同市下筱見地区にあった珪石鉱山。48年3月5日発行の地元紙「篠山新聞」には、「鑛夫三名が即死」の見出しで、同3日に落盤事故があり、「金本容鎬」「姜俊伊」「竹田三童」という朝鮮人とみられる3人の犠牲者名が書かれている。

戦前から戦後にかけて、「珪石」が採掘された兵庫県丹波篠山市の「鳥山鉱山」で、昭和23年（1948）に起きた落盤事故で亡くなった朝鮮人とみられる3人の慰霊碑が、同市福井の豊林寺にある。市内で在日コリアンの足跡などを調査している市民グループが2018年に発見した。設置者は不明で、メンバーらは、「同僚や村の人が設置したのでは。このような碑は全国的に珍しく、日本人も朝鮮人も、ともに地域の産業を支えていた証しともいえる」と話す。同グループは、碑の存在を伝える銘板を設置する予定で、費用面での協力を呼び掛けている。また、犠牲者や当時を知る人の情報も募っている。

慰霊碑は高さ約1メートル。左側面には「為鳥山鉱山殉職者之霊菩提」とあり、右側面に「殉職者名」とし「武田三童」「上野三郎」「金本容鎬」の名が記されている。建立者や年月日などは書かれていない。

市民グループ「銘板設置の会」によると、「鳥山鉱山」は同市下筱見地区にあった珪石鉱山。48年3月5日発行の地元紙「篠山新聞」には、「鑛夫三名が即死」の見出しで、同3日に落盤事故があり、「金本容鎬」「姜俊伊」「竹田三童」という朝鮮人とみられる3人の犠牲者名が書かれている。

慰霊碑を前に手を合わせる「銘板設置の会」のメンバーら

同会メンバーで元中学教諭の松原薫さん（72）＝同県丹波市山南町＝が知り合った宝塚市の80歳代の在日コリアンの女性から、「丹波篠山市の鉱山で働いていた」と聞き、地域を調査。境内に安置されていた供養塔の中から慰霊碑を見つけ、紙面と碑に書かれた3人を同一人物と推定した。「上野」と「姜」の違いは通名と本名と考えられる。

同会が近隣住民から得た証言によると、事故の際、村中でかがり火がたかれ、捜索活動が行われたという。

落盤事故を伝える、1948年3月5日発行の「篠山新聞」

同寺の北野諦圓住職（47）によると、寺の裏山にあったさまざまな供養塔を先代住職が集めて境内に安置しており、今回の慰霊碑もその中から見つかった。発見当初はほかの供養塔とともに並べていたが、同会の調査などを受け、檀信徒の協力を得てお参りしやすいように整備している。

北野住職は、「この辺りにはかつて朝鮮の人がたくさん住んでおられ、『本国に帰る友人を見送りに行った』など、当時の話をよく聞く。慰霊碑があることで、歴史を伝えていけたら」と話す。

珪石やマンガンの鉱山が数多く点在した同市は、かつて朝鮮人労働者が多く、普段の生活でも地元住民と交流することが多かった。子どもたちがいつか本国に帰るときのためにと、母国語や歴史を学ぶ「朝鮮人学校」が地域の会館で開設されていた歴史もある。

市人権・同和教育研究協議会や同会は、市内の在日コリアンゆかりの地に銘板設置を進めており、豊林寺境内にも縦60センチ、横80センチの銘板設置を計画、7カ所目となる。事故が起きた3月3日の午前10時から銘板のお披露目と供養祭を開く予定にしている。

同会代表で、京都大学教授の細見和之さん（57）は、「犠牲者の親戚や知り合いなどが生きておられる可能性はあり、知っている人がいたらぜひ情報を提供して」と呼びかけ、「日韓関係が悪化しているが、朝鮮人と日本人が、ときには一緒に、当時の花形産業であった鉱山を支えていたこと、その印として碑があることを考えてほしい」と話している。

銘板設置寄付金は、ゆうちょ銀行の口座「銘板設置の会」（記号・14380、番号83377901）へ。同会への情報提供は、市人権・同和教育研究協議会へ。