五輪延期の影響は地方にも 出場目指す選手、聖火ランナーも 「残念だけど仕方ない」

2020.03.30
ニュース丹波市丹波篠山市

昨年11月、地元の総学校で講演する芦田さん=兵庫県丹波市山南町和田で

新型コロナウイルスの感染拡大で、東京オリンピック、パラリンピックが1年程度延期になった。その影響は、東京から遠く離れた兵庫県丹波地域でも。大会出場をめざす選手、聖火ランナー、観戦、ボランティアと、様々な形で五輪を楽しみにしていた関係者の声を聞いた。

パラ出場候補の芦田選手「次の目標との距離感見極める」

陸上、「T47(腕の障がい)」走り幅跳びで大会出場を目指していた同県丹波市出身の芦田創さん(トヨタ自動車)は25日、インターネット上で公開した文章で、「延期と決まり、目標が少し遠のいたことで少なからずメンタルに影響がありました」と今夏に賭けていた思いを吐露。一方、「今自分がすべきことは次の目標との距離感を見極める、そして狂った心と体のバランスを整えることを最優先したいと思います。とりあえず少しリラックスします」と綴った。

芦田さんは、オーストラリアのシドニーを拠点にトレーニングを積み、代表入りを目指していた。しかし、代表選考がかかる試合が全てキャンセルになり、代表が決まらないまま大会延期決定を迎えた。

芦田さんの恩師で、パラ陸上競技観戦を予定していた藤原義行さんは、「観る方は、仕方がない。大会でピークを迎えるよう調整していた選手にとって延期はかわいそう」と言い、来年の観戦は「記念なので行きたいが、時期も決まっていないし、予定が立たない」と静かに話した。

ボランティアに渡された実施要項の冊子

ボランティア予定者は延期も前向き

東京都オリンピック・パラリンピック準備局が募集した都市ボランティア「シティキャスト」として案内係を務める準備をしていた丹波市内の60代男性は、「中止でなく、延期でほっとした。何の問題もない。延期されても参加する」と意欲を見せた。10年近く学んでいる英語を実地で使う機会にと、2018年に応募。昨年に2度、上京し研修を受講。今月開催予定の研修会で、大会時にボランティアに立つ場所の割り当てが伝達されるはずだったが、研修会も延期になっていた。

大会が開かれるまでの時間を使って、さらに英会話の上達を目指す。

聖火の県内最終地、関連予算1263万円計上…

 5月25日に聖火リレーの県内最終地に選ばれていた同県丹波篠山市。聖火到着を祝うイベントを予定していた同市は、警備、広報などの関連費用1263万円を予算化しているが、大会組織委員会や県の実行委員会の意向を待って今後の対応を協議する。

また、地元からは、福本かおりさんと上村信博さんが聖火ランナーに選出されていた。福本さんは、「家族や友人も楽しみにしてくれていたので残念だが、仕方ないと思う」と話し、上村さんも、「福島がまだスタートしていなかったので、途中でになるよりはよかった。1年間待つ間に聖火ランナー同士で親交を深める1年間にしようと思っている」と話していた。

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