日本野外生活推進協会(森のムッレ協会)代表 高見豊さん(丹波市市島町上牧)

2020.03.14
たんばのひと

高見豊さん

豊かな自然で教育を

豊かな自然の中に出かけ、森の妖精「ムッレ」と共にエコロジー(自然界の共生)を学ぶスウェーデン発祥の自然環境教育プログラム「ムッレ教室」を推進している。妖精が登場するファンタジーの世界に子どもたちを誘うことで、楽しく遊びながら自然に興味を持ち、大切にする心を育てている。

同教室をすすめるきっかけは、スウェーデンで暮らす妹・幸子さん(70)が、長女が通っていた保育園で実践されていた「ムッレ教室」に感銘を受けたこと。幸子さんから「日本に紹介したい」と相談があり、1990年、地元の鴨庄保育園に頼んで試験的に開催してもらった。当時、日本で同教室を実践している施設はなく、国内では市島町で産声を上げた形になった。92年、同教室の普及を目指す同協会を立ち上げた。

幸子さんから相談を受けたとき、自然界での水や空気の動き、食物連鎖など「自然は循環している」という考えは身についていなかったという。自身も当初は理解を示すことができなかったが、妖精が登場して「自然とともに生きる」ことを伝える、子どもも理解しやすい教育方法に、「当時でさえ、子どもが外で遊ばなくなったと感じていた。外に連れ出すためにも意義があると思った」と振り返る。

同教室の普及に力を注ぎ、リーダーの養成講座を毎年開催。これまでに約3000人が巣立った。環境教育を目的に、社員に受講させる企業もあるという。

同教室は現在、同町内の認定こども園に引き継がれている。2年後には、同協会が設立30年を迎える。「お世話になった人たちを呼び、国際シンポジウムを開きたい。教育スキルの交換ができれば」。73歳。

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