猛禽類から環境を調査
環境調査業の会社「鳥類環境」の代表。「高速道路建設など大規模開発事業を行う際、周辺環境への影響を事前に調査する仕事で、その指標にタカの仲間をはじめとする猛禽類を用いる。希少動物で食物連鎖の頂点に立つ“彼ら”を守ることができたら、周囲の生態系も守れるという考えからです」
数人でチームを組み、双眼鏡や無線機を手に、開発予定エリアとその周囲に生息するクマタカやオオタカ、サシバなどを探し出して飛行ルートや巣の位置などを地図に落とす。これらの情報をまとめ、環境に配慮した開発を考える際の材料にするデータとしてコンサルに提出する、というのが仕事の一連の流れ。仕事のエリアは、中―西日本(九州を除く)と広大。猛禽類の繁殖期にあたる12月から8月までが繁忙期で、月に20日間近くフィールドに身を置くことも。「野外で定点観察を強いられるので、冬は着込めば寒さをしのげますが、近年の夏の暑さにはまいります」
神戸市生まれ。幼少期を山口県で過ごした。小学6年生のとき、近所の“鳥おじさん”から野鳥観察のいろはを教わり、その世界の魅力を知った。
広島県、島根県、小野市、三田市と転々とし、32年前、丹波篠山へ。14年間、養鶏業を営んだ。養鶏の合間に友人の野鳥調査を手伝うようになり、徐々に現在の仕事にシフト。2007年、「鳥類環境」を設立した。
「あと10年は現役を続けますよ。ライフワークとしては、コシアカツバメの越冬地を解明したり、集団営巣するため、篠山でも嫌われ者のサギとの共存方法を探っていきたい」と熱いまなざしで空を見上げた。60歳。