バナナみたいなイチジク 「バナーネ」引き継いで 80歳農家が呼びかけ

2020.07.31
地域

バナーネを収穫する安井さん=2020年7月21日午後零時54分、兵庫県丹波篠山市北野で

兵庫県丹波篠山市北野の安井治さん(80)は、地元の夏の特産物にしようと、バナナのような形をしたイチジク「バナーネ」を栽培して26年になる。ただ、鳥害と加齢で規模を縮小しており、今の安井さんの目標は、若い人にバナーネを引き継ぐこと。「大きくて甘いけれど、皮が破れやすいのでスーパーなどでは売っていない。丹波篠山に人を呼び込める特産物として、若い人が引き継いでくれれば」と期待している。

神戸市で暮らし、ウイルスの研究や検査に携わっていた安井さん。母の貞子さんが実家で寝たきりとなり、「母においしい果物を食べさせたい」と、週末に帰郷しては、モモやスモモと一緒にイチジクを育てた。

同市特産の黒豆、山の芋、栗の収穫時期ではない夏に、同じく同市伝統の民謡「デカンショ」の「デカ」にかけて大きな実のなる特産物を作ろうと、3品種を植えた。そのうち2種は実が大きくならず落下したが、フランス語でバナナを意味する「バナーネ」は実が大きくなり、最も作りやすかったという。これまでに最大で約20センチ、250グラムの実がなったこともある。

母が亡くなり、定年を機に帰郷。母から受け継いだ農地を守りながらイチジク栽培を広げてきた。

多いときで20本ほどを栽培。現在は、バナーネ7本と、最もポピュラーな「桝井ドーフィン」3本を栽培している。

大きな実がなるように、▽寒肥をやる▽5月に乾燥していたら潅水―などの栽培方法に気を配り、木の下には、落下した害虫のカミキリムシを捕るための魚網を置いているという。

安井さんのバナーネは、国道176号沿いの大山振興会ふれあい市場前、水曜と土・日曜の午前8時―)で販売されている。

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