地区の歴史を「かるた」に 50枚で「大山を網羅」 子どもたちへ「誇り感じて」

2020.08.22
地域歴史

「大山歴史かるた」

兵庫県丹波篠山市大山地区の歴史や文化の調査と次世代への継承を目的に活動している「大山昔ばなしの会」(11人)が、地区の名所や歴史を盛り込んだ「大山歴史かるた」を制作した。「全部覚えたら、大山の歴史が網羅できる」と太鼓判を押す自信作。これまでの活動の集大成として制作を進めてきたメンバーらは、「とてもよいものができた。泣きそうなほどうれしいです」とほほ笑んでいる。

 

 

かるたは「あ行」―「わ行」の46枚に、「どうしても外せない」と考えた4枚を加えた50枚で、▽「う」=「馬に引かれて 鐘が坂峠を越えれば 超えて広がる大山荘」▽「て」=天にもとどく 追手神社の千年樅は 地域の宝物▽「に」=「二宮神社に 今も伝わる 貴重な湯たての神事」▽「れ」=「歴史に残る『大山荘』 京都東寺の古文書は 世界記憶遺産に選ばれる」▽「わ」=「『別れじの橋』和泉式部と娘との涙の別れ 宮村に今も伝わる」―など、脈々と続く地域の歴史や今もあり続ける名所などを盛り込んだ。

かるたの完成を喜ぶ会員たち=2020年7月30日午後1時35分、兵庫県丹波篠山市大山新で

群馬県で昭和初期に発行され、歴史・自然・人物・産業などを読んだ「上毛かるた」などを参考に、「大山のことを盛り込んだかるたを作ろう」と企画。採用する歴史や名所、句などの選定作業に注力し、市教委の助成を受け、構想から3年がかりで完成させた。

地元の「大山郷づくり協議会」の支援を受けながら、貴重な地域の歴史や生活習慣などを調べたり、民話を紙芝居にして学校現場などに出向き、ボランティアで披露したりしている同会。これまでにも小冊子「大山の昔を知る」「大山のお宝再発見」「大山のかたりべ」を発行したほか、史跡をまとめたマップなども作成してきた。

同会の小林康利会長(79)は、「かるたを楽しみながら歴史を学ぶことで、『大山はこういう場所なんだ』と知ってもらい、誇りを感じてもらいたい。そうすることで、子どもたちに地元に残ってもらえるきっかけになるかも」と話していた。

かるたは計20セットを制作。地元の小学校などに寄贈したほか、希望者には2000円で販売する。

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