医療救急バッグを製造
豊岡市のバッグメーカーに25年間、勤務した体験を生かし、フルオーダーの医療救急バッグを製造、販売している。医療や救急の現場で働く人たちの要望を取り入れたバッグは各地の病院や消防本部などに支持され、喜ばれている。昨年度には、丹波県民局が創設している「丹波すぐれもの大賞」を受賞した。
豊岡市の出身。8年前に退職し、地元でカフェをオープンした。その頃、公立豊岡病院に勤めている看護師から「資機材が増え、これまでの既製品のバッグでは入りきらなくなった。修理してもらえず、自分たちで手直ししている」との相談を受けた。バッグを見せてもらうと、ポケットは破れ、ファスナーは破裂。安全ピンで止めたり、糸で縫うなどの処置がされていた。
細川さんは看護師と話し合い、要望を反映したバッグを作り、納品。「使い勝手がいいと喜んでくれた笑顔がきっかけで医療救急バッグを作るようになった」という。「Maru Su Bags(マルスバッグ)」と名づけた医療救急バッグはその後、口コミで広がった。2年前、丹波市の気候風土や“ほどよい田舎”が気に入り、柏原町に移住し、柏原に工房を構えた。
既製品の多くは海外製で、不必要な装備などが多い上に製品の選択肢が少ないなどの難点が見られるという。対して細川さんは、外傷の資機材用、内科的な検査道具用、小児用の医療器具用など、要望に応じたバッグを製造している。「『こんなバッグがほしかった』と百点満点の笑顔を見たときは、やりがいを覚えます。医療、救急の現場に寄与できることは、ひそやかな誇りです」と話す。同社(0795・86・8212)。60歳。