農業会社「CKF」代表 荻野一馬さん(丹波市春)

2020.09.06
たんばのひと

荻野一馬さん

「さやひかり」を特産に

丹波黒大豆の突然変異種で、豆が薄緑色をした「丹波青大豆さやひかり」を丹波市の特産品にと、昨年から栽培に力を入れている。さらには同品種を生産することで、農家がもうかる仕組みづくりも模索している。

もともと運送業で15年のキャリアがあったが、37歳のときに就農。実家は兼業農家で、地元の仲間との話題は農業のことが多く、自然と興味を持ったという。「40歳までに軌道に乗らなければサラリーマンに戻る」と決意し、農業の世界に飛び込んだ。

市内の農家に技術を学び、所有する畑や地域住民から借りた農地で作付面積を拡大。農業会社「CKF」を立ち上げ、現在は春日町と市島町で計22ヘクタールほどを耕す。水稲が最も多いが、小豆や大豆に加え、契約栽培でなた豆やトウガラシ、ニンニクなども育てている。

「さやひかり」との出合いは2年前。知人を通じ、同品種を10年以上に渡って試験栽培し、品種の固定化を図った小山一夫さん(春日町黒井)を紹介してもらった。小山さんも栽培を受け継ぐ人を探していたため、育成権を譲り受けて生産に乗り出した。「新たな挑戦で生まれる価値は高い。自分で栽培し、価値あるものをつくり出したかった」と話す。

高タンパクで、黒大豆よりも優れている栄養価がある同品種。受粉の関係で、黒大豆の近くで育てると豆が黒くなり“先祖帰り”してしまうという。最適な栽培の確立を目指す一方で、地元・氷上高校などと連携を図り、同品種を使ったスイーツの商品展開も見据えている。

「栽培したいと思える仕組みをつくる必要がある。そのために、販路開拓や知名度アップに励みたい」。42歳。

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