手づくり絵本作家 村上祐喜子さん(丹波市)

2021.01.10
たんばのひと

村上祐喜子さん

表現の可能性にひかれる

これまでに作った手づくり絵本はざっと150冊。創作の傍ら、丹波市や茨木市、吹田市、京都市の手づくり絵本サークルで指導に当たっている。「手づくり絵本は、この人に読んでもらいたいと思って作り、その人に読んで聞かせることができる。それが魅力であり、おもしろさです」と話す。

35年前、第一子の長女がしゃべり始めた1歳半の頃、一緒にクレヨンで描いた紙をホチキスで止めて製本した絵本を作った。長女が発した言葉を書き留めておき、その言葉を盛り込んだ。「へたくそな絵本でしたが、自分が登場する絵本に娘は喜びました。寝る前に『本を読んであげるよ』と言うと、市販の絵本ではなく、手づくり絵本を選んでいました。子育てをしているときが一番多く手づくり絵本を作りました」

その後、手づくり絵本の数々の名作に出合った。たとえば、母親と子どもを結ぶへその緒を、描くのではなくゴムを使って表現した絵本。一冊だけの手作りだからこそできる表現があり、工夫次第で発想が広がる手づくり絵本の可能性にひかれた。1998年、スキージャンプの原田雅彦さんをモデルにした作品が全国手づくり絵本コンクールで最優秀賞に輝き、ポプラ社から出版された。「書店に並んだときはうれしかったですね」

丹波市で「たんば絵本サロン」を主宰。市内の女性ら約15人を指導しており、先ごろ柏原町で展示会を開いた。「絵を描けないといって尻込みすることはありません。描けないのは最大のチャンスです。違う表現ができないかと、発想を広げられるから」と話す。66歳。村上さん(090・2350・2948)。

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