ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)で、2月22日は猫の日―。兵庫県丹波市青垣町にある廃校になった小学校を利活用し、国産木材の発信拠点にしている「FORESTDOORしぐら」では、保護している迷子のネコからアイデアをもらったネコ商品づくりに取り組んでいる。地元産のスギを使った爪とぎや、希少な布とヒノキの木製プレートで名前を刻む首輪を商品化。ネコ専用の木の通路「キャットウォーク」の試作品をつくるなど、関連グッズをいろいろと考案中。ヒット商品が生まれ、「ネコの恩返し」があるか、もしくは、福招きのネコとなるか―。
昨年10月に、同施設近くにある本社の駐車場で、足をけがし、やせ細ったさび色のメスネコを保護。首輪はしていなかったものの、人慣れしており、貼り紙をするなどして飼い主を探しつつ、「つむぎ」と名付けて保護を続けている。
日中、社員が事務所として使っている旧職員室にいるつむぎを観察していると、置いてある端材の角を選ぶように爪とぎをしていた。これを見て着想を得たのが木製の爪とぎ。市販の爪とぎは紙のものが多く、木ならば紙よりインテリア性があり、おもしろいのではと、表面を凹凸加工したスギ板で爪とぎをこしらえた。つむぎの反応は上々で、爪をとぐ以外にも、ベッド代わりにしてくつろいでいる。
また、同社が取引している国指定無形文化財「丹波布」の貴重な木綿の布と、焼きゴテでヒノキ板に名前を焼き付けた首輪も作った。
また、猫が苦手な来客とつむぎが出会うのを避けるため、旧職員室と、ホットカーペットやトイレがあるつむぎの居室を結ぶ木製のキャットウォークを設置。柵がついた階段と通路(幅15センチ×長さ5・5メートル)を通って、人間の頭上を自由に行き来できるようにしてやった。
自腹でエサを買って与えている衣川武伸部長(47)は、「つむぎに必要なものをこしらえていくうちに、商品化につながった。今のところは社員でなく、居候。食事代分は協力してもらいたい。ヒット商品が生まれたら、お礼に高級キャットフードでもてなしたい」と笑い、「遊びに来てもらえれば、実際の物に触れてもらえる。つむぎもいますし」と、気軽な来館を呼び掛けている。
「森への入り口」をコンセプトに、2019年5月にオープンした同施設は、製材業「木栄」のアンテナショップ兼一部事務所。木製品の展示、販売のほか、動かして遊べる木のおもちゃ博物館、カフェ、丹波布の工房などが入居する複合施設。