配偶者に先立たれるなどして母子、父子家庭や寡婦となった人たちでつくる兵庫県丹波篠山市の「市婦人共励会」が、今年3月でその歴史に幕を下ろす。70年以上にわたり、共に励まし合い、支え合いながら仲間づくりに取り組んできたが、社会の変化により、会員の高齢化や新規会員がないなどの課題を抱えており、「名前だけあって活動がないよりは、会員が元気な間に閉じるほうがきれい」と閉会を決断。会員らは、「この会があったおかげで元気に生きてこられた。たくさんの支えと、先輩方に感謝したい」と笑顔で話している。
婦人共励会は全国的な組織で、原点は昭和23年(1948)に開催された「未亡人のつどい」。第2次世界大戦などで、夫や父を亡くした妻や子が互いに励まし合いながら生きていこうと始まった。母子、父子家庭や寡婦が安心して暮らせる社会づくりを目指して活動し、現在に至っている。
市婦人共励会の前身、多紀郡婦人共励協議会は、つどいの翌年、昭和24年6月に発足。結成時の会員は607人を数えた。当時は中卒者への慰問激励会や親睦旅行、老人ホームへの慰問などを事業として実施。経済的に苦しい家庭を支援するため、行政からの支援を受けたり、小口の貸付も行ったりしていた。祭典に出向いてたこ焼きを販売し、会員の日当にするなど、仕事づくりにも取り組んだ。
近年では県母子寡婦福祉大会を市内で開催。味間認定こども園などに出向いてたこ焼きを提供し、17年に渡って園児たちと触れ合ったり、福祉施設を訪問し、奉仕活動として介助の一端を担ったりしてきた。
結成から71年をへて、現在の会員数はわずか約20人。個人情報保護の観点などから新たに会員となる人も減り、高齢化も進んでいる。
奥田松子会長(78)らは、「子どもを連れていろんなところに遊びに行ったり、仲間と出会ったりすることが楽しかった。同じ境遇の者同士だからこそ話せることもあった。先輩方から戦争のことを聞く機会もあり、学びにつながった」「当時は女性が働く機会も少なく、本当に苦しくて、子どもを大きくしようと必死で頑張った。共励会の仲間たちとの支え合いがあったからこそ」などと回想する。
最近、ひとり親家庭への支援制度が整ったり、女性も働きやすい社会になったりしたことと裏腹に、離婚率が上昇したり、子どもへの虐待が増えたりしている。「人間関係が希薄になっているから、助けを求めにくいのかもしれない。今の人に合った形で支え合える関係ができれば。子どもは大切な存在。頑張って生活していってほしい」とエールを送っている。