ポストコロナ社会を見すえ、避難所の密回避に役立ててもらおうと、兵庫県丹波市青垣町の製材業、建築資材販売「木栄」(森下清光社長)が、約2畳の木製の屋外用一戸建て避難所を開発した。絵本に出てくるような、四角錐のテント地のトンガリ屋根の外観で、災害時の避難所のほか、キャンプ場の簡易バンガロー、趣味部屋などとしての利用も視野に入れている。
同社が開発し、2019年度のグッドデザイン賞を受賞した県産スギの木製間仕切り「災害用ログモジュール」に、テトロンテントの屋根と鋼製束の足4本を付け、屋外仕様にした。
4隅に基礎ブロックと足を置き、その上で、木製間仕切り(2×2メートル、高さ1メートル)を組み立て、最後に屋根をのせる。木製パネルは重いもので4キロ。フローリング加工とログハウスのノッチ加工がされており、はめ込むだけで工具は不要。完成までの目安は2人で2時間程度。テント地をかぶせた屋根をのせるときのみ4人必要。ペグを地面に打ち込み、屋根の生地を引っ張ってタープの用に固定するときに金づちを使うだけで、他の工具は使わない。
同社の衣川武伸部長(47)は、「被災者自身が、自力で建てることを想定し、足の数を極限まで減らし、簡単に組み立てられるようにした。寒い季節でなければ、中で眠れる」と話している。
県の「ポストコロナ社会の具体化に向けた調査検討費補助事業」の「危機管理部門」に採択された。12事業者が採択され、同社以外は全て大学と大学院。
モデルハウス5棟を、同社の製品展示場兼事務所「FOREST DOORしぐら」(同町文室、旧神楽小学校)運動場に設置した。「災害への備え」として、平時は倉庫で眠ったままになることからの脱却を目指し、平時利用を提案する。
同施設の空き教室を利用したカフェ「LAIDBACK」が始める屋外バーベキュー時に、休憩所として貸し出す。キャンプ場に簡易バンガローとして売り込むことも考えている。
販売価格は検討中だが、20万円前後となる見込みで、一般販売する。ドラムで電源を引っ張り、趣味部屋やリモートオフィスとしての活用も提案していく。
見学希望は同社(0120・413187)。