コロナ禍で口の健康悪化 「おやつ増え唾液ドロドロ」 歯科衛生士団体が警鐘 歯磨き啓発DVD製作し園に配布

2021.03.05
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適切な歯磨きなどを促すDVDを作製したメンバーら=2021年2月26日午前9時17分、兵庫県丹波篠山市東岡屋で

新型コロナウイルス感染防止に伴う自粛によって精神的、肉体的に健康を害する人もいる中、兵庫県丹波篠山市内の歯科医院に勤務する歯科衛生士らを中心につくる団体「市地域活動歯科衛生士会さくらんぼ」は、「お口の健康」も悪化していると警鐘を鳴らす。特に家で過ごす時間が増えた子どもたちは、菓子やジュースを口にする機会が増えていることから虫歯が増えたり、口の中が虫歯になりやすい状態になったりしているという。メンバーらは、「子どもたちも保護者のみなさんも、まずは今が悪い状況にあることを認識し、改善してほしい」と呼びかける。

メンバーの歯科衛生士らは、「コロナ禍の影響は口の中にも表れている」と口をそろえる。

コロナ禍による休校・休園によって、子どもたちはおやつの回数が増えたり、友だちとの会話が減ったりしたことで口周りの筋肉がうまく動かなくなり、唾液の粘着性が高い「ドロドロ」状態になったり、歯垢が厚くなったりしているケースが増えたという。外出自粛などによって、一時期は歯科医院を訪れてケアする頻度も少なくなった。

当然、虫歯も増えており、「歯科医院で継続して診ている子どもでこの状態。来ていない子どもたちはもっとひどいかもしれない」と話す。

高齢の人も会話が減ることで、喉の筋肉が弱くなり、「嚥下」する力が落ちているという。

例年ならメンバーらが園に出向き、歯の大切さを伝える「8020運動」(80歳まで20本の歯を保つ)を啓発する活動をしているが、今年度はコロナ禍の影響で半数ほどにとどまったほか、活動できたとしてもマスクを外せないため、ブラッシング指導ができなかった。

そこで適切な歯磨きが学べるDVDを製作し、市内すべてのこども園や幼稚園、保育園に配布した。子どもたちの適切な歯磨きを促す映像を収録したもので、各園で見てもらうことで意識付けに取り組んでもらおうと考えた。製作には「健康ひょうご21県民運動地域実践活動」の助成を受けた。

DVDでは、口に入る適量やそしゃく回数などを学ぶため、前歯で「がぶり」とかじることや、奥歯でしっかり食べることの大切さを説明。自分で歯磨きするときのこつや、保護者の仕上げ磨き、歯と歯の間の汚れを落とすフロスも紹介している。メンバーの子どもたちや人形も登場し、幼い園児にも分かりやすいように工夫した。

また配布と同時に行ったアンケート調査からは、マスクを外して乳幼児に近づくことを避けるため、それまで保育士らが行っていた昼食後の仕上げ磨きをやめているケースも多く見られたという。

田中佳子代表は、「子どもたちはもちろん、保護者、高齢の方もお口の健康を考えてもらうことが重要。コロナ禍の中でも、自宅での仕上げ磨きなどに意識して取り組んで」と呼びかけている。

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