阪神甲子園球場で19日に開幕する選抜高校野球大会(春のセンバツ)に、兵庫県丹波市出身の2選手が所属する2高校が出場する。青垣中学校出身の足立風馬君(新3年)の智弁学園(奈良県)と、和田中出身の板垣翔馬君(新2年)の神戸国際大附属高校。2人とも初めての甲子園ベンチ入り。共に背番号は二桁でレギュラー番号ではないが、先発メンバー入りを目指し、闘志を燃やしている。
智弁学園の足立君 打棒と走塁で勝負
足立君(右投げ左打ち)は174センチ、83キロ。背番号は「13」。甲子園常連校の同校は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった昨年のセンバツ出場校。2年ぶりの開催となるセンバツで、自身初めての甲子園の土を踏む。
少年野球の青垣レンジャーズ、中学生硬式野球チームの丹波ヤングベースボールクラブ出身。同クラブ2期生で、初の甲子園球児。2016年の同校のセンバツ優勝をテレビで観戦し、白地に赤のユニフォームに憧れた。
入学後、投手から野手に転向、現在はセンター。昨年の秋季大会は内野手でメンバー入りし、東播磨(兵庫)を破った市立和歌山(和歌山)との2回戦で代打出場した。
同校は練習中に間食の時間を設け、米をしっかり食べ、体を大きくする。母の紀子さんが送ってくれる、ご飯が進む手料理のおかげで、中学時代より約20キロ増量に成功。パワーが付き、広角に長打が打てるようになったと成長を実感している。50メートル6秒3。バッティングと走塁がセールスポイント。
中学3年時にヤングリーグの台湾遠征選抜チームに選ばれ、同い年の選手のレベルの高さに驚いた。「こういう選手が強豪校に進学するんだ」と目の当たりにし、ライバル心が芽生えた。
初戦(大会4日目の第2試合)の相手は、昨年の秋季大会決勝で下した大阪桐蔭(大阪)。「チームの全員がわくわくしている。もう1回来い、もう1回勝つという感じ。守備は、あたり前のプレーを堅実に。ここ一番、一本欲しいところでヒットを打ちたい」と、バットを振り込む。
強豪校への道を開いてくれた丹波ヤングの上田大作監督の教え「継続は力なり」を今も胸に刻んでいる。野球の楽しさを教えてくれた青垣レンジャーズの元監督、足立哲さんをはじめ「家族や恩師の期待に応えたい」と、笑顔を弾けさせた。
神戸国際の板垣君 防球ネット追加の”飛ばし屋”
板垣君(右投げ右打ち)は、185センチ、100キロと体格に恵まれたスラッガー。持ち味の打撃でプロ入りを目指しており、「甲子園でホームランを打つ」と意気込む。打ち勝つ同校のプレースタイルにマッチすると考え、同校に進学した。
少年野球の和田スポーツ少年団、中学生硬式野球チームの氷上ボーイズ出身。
小学4年生からほぼ毎日、父の早人さんに練習に付き合ってもらった。中学時代は500スイングした後で、ティーバッティング。雨の日は、バッティングセンターに通った。「バットを振らないと気持ち悪い」と、ひたすら打撃を磨いた。チームとしてはさほど好成績は残せなかったが、自身は兵庫選抜に選ばれ、「自分の成績は追求していた」。板垣君がレフトに場外弾を連発することから、チームは練習場に、新たに防球フェンスを設置した。
昨年の秋季大会はメンバー外。長打力を生かすため、秋の大会終了後に別のポジションから三塁手にコンバートされた。冬から春にかけ、紅白戦でホームランを打つなど成長が認められ、背番号「15」でベンチ入りをつかんだ。
初戦(19日の第1試合)の北海(北海道)は、2017年夏の甲子園で、氷上ボーイズの先輩、谷口嘉紀さん(当時2年、現・近畿大野球部、柏原中出身)が2打席連続本塁打でチームに勝利をもたらした相手。板垣君は、谷口さんを越えたいと、身近な目標にしてきた。「北海戦で自分も打ちたい」と意気込む。
小学生時代から見てもらっている和田スポーツ少年団の堂本達也監督には、今も打撃の相談をする。「試合に出て、これまでお世話になった監督、コーチに恩返しし、後輩を元気づけたい」と話している。