兵庫県丹波県民局は、温度が年間を通じてほぼ15度という三宝(みたから)ダム(同県丹波市春日町上三井庄)の管理トンネルで、日本酒などを貯蔵・熟成させようと、同市市島町の酒造会社3社と連携し、このほど同トンネルで蔵入れ作業を行った。同県民局は「丹波の地酒に付加価値を持たせてPRすることで、販売促進や商業振興につなげたい」と話し、酒造会社3社は「15度は酒の成分分析を行う際の基準温度で、日本酒の熟成に最適な温度。香り高く、味わいの良い酒に仕上がることを期待したい」と語った。今秋まで貯蔵し、「日本酒の日」にちなんだ10月1日、同トンネルでお披露目会を催し、販売する計画。
同県民局は、神戸市兵庫区にある「湊川隧道」(みなとがわずいどう)で同様の取り組みが行われていることに着目。同ダムが、竹田川の源流の一つになっている三井庄川(大谷川)に造られていることから、竹田川水系の水を使用している市島町の蔵元、西山酒造場、山名酒造、鴨庄酒造に声を掛けた。この日は、県が2018年に酒造好適米として開発した「Hyogo Sake 85」(ヒョウゴ サケ エイティーファイブ)などを原料とした日本酒をはじめ、地元産コシヒカリを使った純米酒、栗焼酎やブランデーなど、合わせて1122リットル(瓶590本、3樽)を蔵入れした。
同トンネルは高さ約2・5メートル、幅約2メートル、奥行き約50メートル。ダム建設時に漏水防止工事を行った際の作業道で、その後も点検道として使われている。
今後3社は、「三宝」をコンセプトに共通の化粧箱やボトルデザインを協議していくとし、焼酎やブランデーは長期熟成も考えたいとしている。